「李克強総理が示した中国経済が変動しながら上向いているとの見方に強く賛同する。中国経済は、その牽引役が投資から消費に移り、安定的な中高速成長を保つだろう」。新興5カ国(BRICS)が創設した新開発銀行(BRICS銀行)のレスリー・マスドープ副頭取はこのほど、中国の「経済日報」の取材に対してこのように述べた。取材時のやり取りは以下の通り。
■中国経済の成長見通しについてどのように考えているのか?
中国は、国内総生産(GDP)ベースで世界第2位の経済国となり、新興国市場の大きな需要創出に貢献している。我が国の南アフリカ政府も、政策的に重要な輸出市場として中国を開拓した。中国政府が構造転換や成長戦略など一連の政策措置を講じており、中国経済は新たな中高速成長期を迎えると確信している。
■新興国の経済成長トレンドは?
BRICSはここ10年にわたり、急速な経済成長を遂げたものの、グローバル資本の供給が経済の大きな制約となっていた。米ドル安は金融緩和につながったが、米ドルレートの変動で新興国経済が影響を受けている。
グローバル資本市場では最近、大幅な相場変動が起こり、新興国通貨に大きな影響を及ぼした。人民元レートの変動は比較的小さかったものの、インド、ロシア、ブラジルなどの通貨が大幅安となり、インフレ圧力が急速に拡大。人々は目の前のリスクを注視する一方、BRICS経済のファンダメンタルズが良好にも関わらず、長期投資を軽視している。各国は、将来の経済成長につながるインフラ施設の建設、教育、科学技術の革新に注力し、経済成長の大動脈を構築する必要があるだろう。
■BRICS銀行が各国のインフラ施設建設に果たす役割は?
インフラ施設の建設は、BRICSの構造改革と成長の基盤だ。BRICS銀行は長期的なインフラ施設向け投資に注力する方針で、創設から間もないが、アジアインフラ投資銀行(AIIB)と提携した。来年4月には最初の融資を予定しており、各国と融資案件を協議している。
■既存のグローバル金融システムへの挑戦になるのか?
世界銀行(WB)と国際通貨基金(IMF)が設立されたのは70年前で、新興経済市場の実需にほとんど活用されていないなか、発展途上国に深く結び付く新型の銀行を創設する時期が来た。BRICS各国が関与する金融発展モデルを確立し、各国の長期的な成長に向けた融資に注力する。BRICS銀行の設立は、既存のグローバル金融システムへの挑戦ではなく、その補強と改善が目的だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年9月10日
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