第3次安倍改造内閣が8日、本格始動した。新内閣は経済発展を再優先し、アップグレード版「アベノミクス」を推進する。これらの政策には、「新3本の矢」、2020年頃までに国内総生産(GDP)を600兆円にするという目標が含まれる。
◆経済最優先
新内閣は、「強い経済」「子育て支援」「社会保障」を新たな「3本の矢」と位置づけ、「1億総活躍社会」を目指す。新3本の矢は、高齢化や労働力の不足といった、長年に渡る構造問題の解消を目指す。
中国社会科学院日本研究所外交研究室室長の呂耀東氏は、「安倍首相は再び経済発展に重心を置いた。これは安保関連法案に対する国民の反感をそらし、日本国内の国民生活に注目を集めるためだ」と分析した。
◆なぜ新3本の矢を放つのか?
安倍首相が2013年に放った3本の矢の1−2本目は、積極的な金融緩和策と財政刺激策だ。円安と株価高騰により、企業の自信を強め経済復興を実現した。
しかし規制緩和と改革により日本経済の長期的な成長の潜在力を高める3本目の矢は、推進が遅れている。データを見ると、アベノミクスは今日も成功を手にしていない。CNNは、「3年が経過したが、日本の賃金上昇の先行きは不透明だ。物価上昇率も、日銀が設定した2%の目標に遠く及ばない」と報じた。日本の今年第2四半期の経済成長率は再び低下し、実質でマイナス成長となった。アベノミクスは、持久力を失っている。
AFP通信によると、国際通貨基金(IMF)は日本の今年と来年の経済成長の予想値を下方修正した。
安倍首相はこのほど、記者会見で「明日への『希望』は、強い経済なくして、生み出すことはできない」と述べた。安倍首相はアップグレード版のアベノミクスを打ち出し、これまでの長期的な構造改革から、国民に支持されやすい即効性のある措置に重点を置き換えた。これは来年7月の参院選までに、民意の支持を得なければならないからだ。
◆根深い経済の問題
新内閣は全力で経済発展を再優先しているが、多くの日本人は新3本の矢に期待していない。あるアンケート調査によると、加藤勝信氏が「1億総活躍担当相」に就任し、少子高齢化問題の解消に当たることについて、「期待していない」と答えた人は48.1%、「期待している」は44.8%となった。
ロイター通信は、「1億総活躍社会という目標は戦時中のプロパガンダのようで、具体的な措置がない」と指摘した。加藤氏は2020年頃までに日本のGDPを600兆円にするという目標について、一朝一夕に実現できる目標ではないと表明した。これは新内閣が、まだ具体的な措置を打ち出していないことを意味する。
新3本の矢の基本的な方針は空虚で、力を持たない。CNNは、「新3本の矢には詳細な措置と大志がなく、具体的な実施時期も示されていない」と指摘した。呂氏は、「新内閣の経済方針は根本的な改革を打ち出していない。日本国内の構造問題、出生率の低下、社会保障、年金といった問題も依然として深刻であり、600兆円という目標の実現は容易ではない」と分析した。
AFP通信は、「疲弊する日本経済は今後10年、より深刻な労働力の不足、高齢化の加速、世界最低の出生率の国という問題に直面し、国内の社会保障費が高騰するだろう」と報じた。
新3本の矢によって構成されるアップグレード版のアベノミクスは、保育支援などの支出を拡大し、高齢者福祉施設を増やすことに重点を置いているが、低迷する経済に歯止めをかける具体的な措置を講じていない。また日本国内の財源には限りがあり、新内閣がアップグレード版のアベノミクスを推進しても、根深い経済問題は解消されないだろう。(編集YF)
「人民網日本語版」2015年10月12日
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