10月17日は、23回目の「国際貧困撲滅の日」かつ2回目の中国「扶貧日(貧困扶助デー)」だ。毎年この時期は、貧困扶助政策を見直す絶好の機会でもある。数億人規模で貧困者を減らし、世界に巨大な貢献を行う一方で、貧困削減の実績がどれほど「芳しくない数字」になろうとも、貧困扶助ラインを引き上げ続けることが貧困扶助策の要である。事実に基づき真実を求める姿勢で、標準の変化に対応しなければならない。中国式の貧困扶助策は、顕著な特徴を呈している。人民日報海外版が報じた。
〇毎年引き上げられる貧困扶助ライン
中国では、どんな人を「貧困人口」と呼ぶのだろうか?その答えは、1人当たり年間純所得が、「1985年以降=200元未満」「2008年以降=1196元未満」、「2011年以降=2300元未満」の人々だ。
時代の経過にともない、中国の発展レベルと国民の生活レベルが向上し、ここ数年中国の貧困扶助ラインは上昇の一途を辿り、上昇率は10倍を上回った。
英エコノミスト誌が以前行った調査分析によると、数字を見る限りでは、中国の貧困ラインは世界銀行が定めた基準より低いが、グローバルスタンダードから見れば、中国における実際の貧困人口の数は、政府が発表したデータより少ない。ビッグマックの世界各地での価格(ビッグマック指数)比較による購買力評価を実施した同誌は、「2014年の時点で、中国の貧困扶助ラインは、世界銀行の基準値より高い」と結論づけた。
貧困扶助ラインの引き上げは、貧困扶助事業の任務がより重くなることを意味する。たとえば、2011年、農民1人当たりの純所得が2300元に引き上げられると、貧困補助ラインは2009年比 92%上昇、貧困人口が数千万人増える直接的原因となった。この政策は、当時、多くの国際機関やメディアから称賛された。
〇厳密な意味での貧困扶助対象者は7017万人
国家統計局が2014年に発表したモニタリング統計データによると、現在の中国で、貧困扶助の現行基準に達していない貧困人口が、依然7017万人いる。国務院扶貧開発指導チーム弁公室の洪天雲副室長は、「小康社会(やや豊かな社会)の全面的建設の完成目標である2020年まで、あと6年しか残っていない。この6年間で7千万人あまりが貧困状態から脱するためには、毎年1170万人、毎月平均100万人が貧困から脱却しなければならない計算になる。時間が切迫しており、この任務は極めて重く、実現までの道のりは非常に困難だ」とコメントした。
このような状況のもと、国有資産改革「1+N」方案をめぐる文書には、貧困扶助を全面的に推し進める方針に加え、若干の具体策、プロジェクト、措置などの内容が盛り込まれた。また、関連政策は、以下5つの分野にまとめられている。
1.国家レベルでの貧困扶助関連ビッグデータを完備し、貧困人口約7千人の居住地、居住エリア、貧困に陥った原因、彼らの需要、扶助の方法などを具体化かつ明確化する。
2.12万8千ある貧困村に対し、現地駐在業務チームを派遣、第1書記を選抜・派遣、貧困扶養対象者をめぐる業務体制を確立する。
3. 所得の増加、貧困扶助・転居、医療・健康、職業教育、生活保護などの分野で、住民をめぐる生産生活環境や環境条件の改善という基本的課題を解決する。
4.住民の生産発展、労働発展、外地での就業を計画・奨励する。
5.貧困地区において手本となる自力更生モデルを発揚し、貧困扶助・協力体制の優良モデルを制定し、トップからダウンまでが一致団結した、全国統一的な総力戦を繰り広げる。
中国人民大学農業・農村発展学部の汪三貴教授は、「貧困扶助事業は、順を追って進める必要がある。これは、水道、電気、道路、通信、住宅など一般大衆の生産生活環境における基本条件に関連しており、向こう6年以内に貧困人口7017万人を貧困状態から脱却させることは、途方もなく重く、困難極まる任務である。このため、政府は、貧困扶助に対してさらに力を入れ、目標に向かって精度の高い貧困扶助政策を進めていくであろう」との見方を示した。
「高精度の貧困扶助」は、当面および今後の貧困扶助事業の重点目標となる見通し。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年10月16日
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