中国国家統計局は19日、今年第1-3四半期(1-9月)の各種重要経済指数を発表した。最も注目されるGDP成長率(速報値)では、第1-3四半期のGDPが8兆7774億元(約165兆5千億円)、成長率は前年同期比6.9%増となった。四半期別に見たところ、第1、第2四半期のGDP成長率はいずれも7%、第3四半期は6.9%に落ち込み、2009年来の低い値となった。GDPの動向に影響する多くの経済指標の変化には、決して同一の傾向は見られず、経済データの増減が一様ではない局面も、中国経済発展における基本的複雑性が今もなお変わっていないことを示している。北京商報が伝えた。
〇弱まる従来の動力
伝統的な業態の低迷がまたもや、中国経済発展の弱点であり隠された憂慮となった。国家統計局が同日発表した統計データによると、今年第1-3四半期の固定資産投資総額(農家を除く)は39兆4531億元(約743兆7200億円)、前年同期比10.3%増(名義増加率)、増加スピードはこの1年で最も落ち込んだ。関心が集まった全国不動産開発投資額も縮小した。分析によると、7月以降、投資のリスク・プレミアムが上昇し、工業企業の利益の長期減少による生産力拡大不足が、顕著な投資増加スピード原則の主要因とみられる。
経済変動のバロメータであるの工業付加価値額増加速度も大幅に減速した。9月、一定規模以上企業の工業付加価値額は前年同期比5.7%増、3月経済危機時の最低ラインにほぼ並んだ。銀河証券首席エコノミストの左小蕾氏は、「現在、伝統産業界に存在する最も大きな障害は、過剰な生産能力だ。生産能力と在庫を減らすことが当面の急務となっており、在庫調整が正常に戻って初めて、新たな成長エネルギーが培われ、二次産業のための安定した空間が得られる」と指摘した。
このほか、外国貿易活動指数は依然低いゾーンにある。今年第1-3四半期、中国の輸出入貿易総額は前年同期比7.9%減少した。このうち輸出総額は7兆6334億元(143兆8300億円)で、同15.1%減と大幅に落ち込み、低迷状況は、実質的なデータとしては現れていない。左氏は、「中国の輸出総額は世界全体の12%以上を占めるまでとなった。基数がこのように大きな状況のもとで、高度成長を維持する空間は限られている。また、輸出構造の調整が、差し迫った任務となっている。民営企業、新興市場、機電製品の輸出など主な牽引力を強化すべきだ」と指摘した。不調を反映しているデータには、このほかにも就業関係統計もある。国家統計局の盛来運報報道官によると、9月の失業率は5.2%前後と、前の2カ月に比べやや上昇した。
〇力を発揮し始めた新興産業
中国経済発展をけん引する「三頭立て馬車(輸出・投資・消費)」のうち、2頭が振るわない状況のもと、消費だけが孤軍奮闘している。今年第1-3四半期、社会消費財小売総額は前年同期比10.5%増、増加スピードは上半期比0.1ポイント上昇した。注意すべきは、オンライン消費の発展すう勢が力強く、小売総額は前年同期比36.2%増の2兆1510億元(約40兆5千億円)に達し、社会消費財小売総額全体の10%以上を占めたことだ。中国国際経済交流センター研究部の王軍・副部長は、「消費、特にオンライン消費は、実態経済を支える新たな存在となっている。このところ、投資や輸出の疲弊よってもたらされる経済低迷の圧力が持続的に高まっているが、消費はずっと安定的な情勢を保ち続けている。三頭立て馬車での消費の貢献度は5割を上回っている上、オンライン消費の成長率が40%に迫るという新業態は、内需拡大をリードする新たな動力となるに違いない」との見方を示した。
消費と同様、住民所得も大幅な増加が続いている。今年第1-3四半期、全国の住民1人当たり可処分所得は16367元(約30万8千円)、前年同期比実質7.7%増、ふたたびGDP成長率を上回った。
このうち都市部住民の一人当たり可処分所得は同6.8%、農民は同8.1%、それぞれ増加した。国家統計局の盛来運報道官は、「昨年以降、住民一人当たり可処分所得の成長率はGDP成長率を上回る傾向にある。これは、中国政府が恵民政策に力を入れ、一連の所得増促進政策・措置が着実に実施されていることと切り離しては考えられない。経済構造は着実に合理化されている」とコメントした。
中国国際経済交流センター研究部の王軍・副部長は、「これまで、中国経済の急成長は、環境破壊と自然資源の大規模開発という代償が伴うもので、一般庶民は決して、実質的な福利を得ることはなかった。今、経済成長が減速しているが、中国経済の質や収益性は改善されており、構造は合理化され、国民が大きな関心を抱いている大気の質や医療などの問題も、大幅な改善が得られた」とコメントした。銀河証券首席エコノミストの左小蕾氏は、「中国の国民一人当たりGDPは間もなく1万ドルの大台を突破し、GDP成長率は7%前後を維持、同時期の米国や日本をはるかに上回るであろう。また、従来のGDP至上主義の発展モデルや評価基準はすでに時代遅れであり、0.数パーセントの変動に一喜一憂することは、全くもってナンセンスだ」と指摘した。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年10月21日
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