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五中全会が閉幕 国民生活に関わる具体的な政策多数

 

中国共産党の第18期中央委員会第5回全体会議(五中全会)が29日に閉幕した。今回の会議の主要テーマは第13次五カ年計画計画だった。同日夜に発表されたコミュニケには、マクロの青写真や改革ルートの輪郭のほか、国民生活と密接に関わる具体的な政策が数多く盛り込まれ、「すべての貧困県が貧困の帽子を脱ぐ」、「高校段階の教育を普及させる」、「2人っ子政策の全面的な実施」といった多くの新たな表現が初めて明確に提起された。中国新聞網が伝えた。

▽すべての貧困県が貧困の帽子を脱ぐ

今回発表された6千字に迫るコミュニケでは、五中全会で提起された小康社会(ややゆとりのある社会)の全面的建設という新たな目標・要求が明らかにされた。

目標では、「2020年前に国内総生産(GDP)と都市部住民の平均収入を2010年の2倍にする」ことが繰り返されたと同時に、農業や貧困扶助などの話題にも多くの文字が費やされた。

具体的な記述をみると、「農業の現代化が著しい進展を遂げ、国民の生活の水準と質は軒並み向上し、中国の現行の基準で農村の貧困人口が貧困からの脱出を実現し、貧困県のすべてが貧困の帽子を脱ぎ、地域的な全体的貧困の問題を解決する」とある。

中国には現在、貧困県が832カ所ある。今回、「すべての貧困県が貧困の帽子を脱ぐ」ための具体的な時間表が初めてうち出された。

▽競争のある分野の商品・サービス価格を全面的に開放する

五中全会では、上記の発展目標を実現させるためには、「刷新、強調、グリーン、開放、共有」の発展理念をしっかりと樹立し着実に貫徹させなければならないとされた。この10文字の理念も今回初めてうち出されたものだ。

コミュニケはやや多くの文字を費やして「刷新」を強調した。外部の注目を集めるマクロ調整については、五中全会は「マクロ調整方法を刷新し充実させ、地域間の調整コントロールの基礎の上にターゲットを絞った調整コントロールの取組を強化し、政府の価格形成に対する干渉を減少させ、競争のある分野の商品・サービス価格を全面的に開放する」ことをうち出した。

先に政府が発表した「価格メカニズムの改革推進に関する若干の意見」に基づき、水、石油、天然ガス、電気、交通・輸送などの分野の価格改革を推進し、競争のある段階の価格を開放し、市場による価格決定の役割を十分に発揮させるという。

▽高校段階の教育を普及させる

注目されるのは、中国の9年間の義務教育の全面的普及の基礎の上に、五中全会は初めて「高校段階の教育を普及させる」ことをうち出したことだ。

コミュニケのこの点についての具体的な記述はこうだ。「教育の質を高め、義務教育のバランスの取れた発展を推進し、高校段階の教育を普及させ、中等職業教育の学費・雑費の免除を段階的に分類推進し、貧困情報を記載した文書・カードが作成された経済的に困難を抱えた家庭出身の学生に対し率先的に普通高校の学費・雑費の免除を実施し、経済的に困難を抱えた家庭出身の学生に対する支援の全面的カバーを実現する」。

教育部(教育省)は今年5月に下達した「2015年の高校段階の学校の学生募集業務の着実な実施に関する通知」の中で、、学校運営の条件を改善し、普及のレベルと学校運営の質をさらに高め、発達の遅れた地域と少数民族居住地域では中等職業教育の発展を高校段階の教育普及の重点とすることを求めた。

▽技術者の待遇を引き上げる

コミュニケによると、第13次五カ年計画期間には、雇用・起業を促進し、雇用優先戦略を堅持し、より積極的な雇用政策を実施し、起業支援政策を充実させ、柔軟な雇用と新たな雇用形態への支援を強化し、技術者の待遇を引き上げるという。

人材資源・社会保障部(人材資源・社会保障省)職業能力建設司の関連部門責任者は2014年に、「技術者の経済的待遇や社会的地位は低く、技術者になろうという人がいなくなり、生産とサービスの第一線での労働に従事しようという人がいなくなっている。『360種類ものあらゆる産業の、どれでも努力すれば成功できる』、『一つの技術を極めた人を尊び、学歴だけでなく能力で人をみる』といった社会のムードを醸成し、誰でもみな成功でき、誰もがみな才能を発揮できる良好な環境作りをすることが必要だ」と述べている。

▽国有企業の資本の一部を社会保障基金に移転する

社会保障について、五中全会では、より公平でより持続可能な社会保障制度を構築し、国民皆保険計画を実施し、労働者の基礎年金の全国統一計画を実現し、国有資本の一部を移転させて社会保障基金に充当し、都市部・農村部住民の重篤な疾病を対象とした保険制度を全面的に実施することがうち出された。

そのうち、「国有資本の一部を移転させて社会保障基金に充当する」との提案が社会の関心を広く呼び起こした。

注目されるのは、全国社会保障基金理事会の謝旭人理事長がさきに、国有資本の一部を移転させて社会保障基金に充当することは、人口高齢化の課題への対応という差し迫った必要に迫られてのことだと指摘したことだ。

▽「2人目」を全面的に開放する

第18期中央委員会第5回全体会議のさまざまな政策に関する情報を眺めたとき、「2人目」の全面開放政策が社会の注目を最も集める政策であることは間違いない。

コミュニケのこの点に関する記述は、「人口のバランスの取れた発展を促進し、計画出産の基本的国策を堅持し、人口発展戦略を改善し、1組の夫婦が2人の子どもを産み育てることを可能とする政策を全面的に実施し、人口高齢化への対応の行動を積極的に展開する」というものだ。

人口高齢化などの問題に対応するために、2013年に行われた第18期中央委員会第3回全体会議では「単独二孩」政策のスタート・実施が決定された。これは両親のどちらかが1人っ子である夫婦は2人の子どもを産み育てることができるというものだ。

中国社会科学院(社会科学アカデミー)人口・労働経済研究所の王広州研究員の分析によると、「単独二孩」政策の実践による証明を経て、ただちに2人っ子政策を全面的に開放することは、中国の人口構造と世帯構造の改善や、ますます突出する人口の構造的問題への対応をめぐって、重大な戦略的意義があるという。(編集KS)

 

「人民網日本語版」2015年11月1日

 

 

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