中国製の新たなトロイカ(三頭立ての馬車)のうち、高速列車、原子力発電所に続き、ついに国産大型旅客機が登場した。プロジェクトが開始された2008年から現在までの膨大な工事量がC919のラインオフに神秘性をもたせている。今、中国が独自に開発した大型機がついに真の姿を現した。北京商報が伝えた。
周知のとおり、大型機の研究開発は巨額の資金を投入するだけでなく、全国各地からのメーカーとサプライヤーを引き付けている。このプロジェクトが始動して間もない頃、予算はすでに700億元(約1億3千万円)に達した。そのため、どのように効率的に推進するのかというのが商用飛行機の解決すべき大きな課題になった。コストを抑えるため、協力体制を構築し、中国商用飛機有限責任公司がC919を製造するにあたり「主要メーカー - サプライヤー」という展開モデルパターンを選択した。国内外の資源を最大限結集し、民間航空機産業の「運命共同体」を作り出した。
国際市場においても国産大型旅客機は同様に自分のサプライヤーの仲間を持っている。C919はGE、Honeywell、CFM等の優れた外国企業を大型旅客機のシステム搭載サプライヤーとして選択すると同時に海外のサプライヤーと国内企業の協力と発展を促進し、アビオニクス、飛行制御、電力、燃料、離着陸装置などのシステムを搭載するため16社の合弁企業を設立した。
真意は他にある
世界の民間機製造業に眼を向けてみると、業界の集中の度合いが高く、寡占している顕著な特徴がある。これによってC919型機の製造開発はただ民間機製造業というパイの分け前にあずかる第一歩に過ぎない。引き続き中国は航空機の部品製造を発展させ、世界の航空機製造業のサプライチェーンに食い込むことで世界の産業チェーンでの地位をたゆみなく向上させ、世界の航空機製造業のレベルに追い付き、また追い越す。
大型旅客機の機体組み立て拠点に牽引され、上海で完全な航空産業チェーンを形成する。中国商用飛機有限責任公司が上海をよりどころに、「一つの本部と6大中心地」という全体的な配置を構築している。開発設計、製造組立、マーケティング、顧客サービス、耐空証明、サプライヤーの管理の6大業務が次第に強化された。
誰が支払いをするのか
新型飛行機の牽引効果以外に、発注数がこれまでの重要な指標である。現在までで、C919大型旅客機はすでに国内外のクライアント21社から517機の発注を受けている。クライアントには中国国際航空、中国東方航空、中国南方航空、海南航空やICBCリース、CCBリース会社などの航空機リース会社や、米国GECASやドイツの航空会社など国外のクライアントも含まれている。
一般的に通路が1本の旅客機発注は約300機で損益分岐点に到達するが、C919の損益分岐点は約500から600機と見積もっている。後発の市場参入者として、C919型機の価格はエアバスやボーイング社の同型機と比べ低めに設定しなければならないため、損益分岐点に到達させるにはより多数の飛行機を売る必要がある。
中国のトロイカ
とにかく、C919第1機のラインオフに伴い、大型飛行機は高速列車、原子力発電所と並んで中国製のトロイカに名を連ねるだろう。多くの業界アナリストは「高速列車、原子力発電所の成功経験があるので、大型飛行機の国際化への道のりはスムーズに進む可能性が高い」とより楽観的な態度を示す。
事実、商務部(省)によると、この前ロシアで行われた「2015年度・第6回国際イノベーション産業展」で、中国は同産業展初の名誉招待国として参加、130社余りの中国企業が出展した。高速列車、原子力発電所、大型飛行機、掘削プラットフォーム、宇宙探査器などの先進製造業が「中国工業の代表チーム」として、初めて一挙公開した。
国内市場はより大きな「金脈」だ。過去30年、中国民間航空機市場が急速に拡大し、それぞれの航空企業大手は事業拡大の「黄金期」を掴むため、大金を投入し航空機を購入、ボーイングやエアバスにつぎ込んだ米ドルは数えきれない。現在、この航空製造業のパワーゲームにおいて、中国は間もなく2大製造メーカーの長期にわたる寡占市場に割り込み、利益を分かち合うだろう。(編集JK)
「人民網日本語版」2015年11月4日
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