発展を期待する世界中の目が絶えずアジアに向けられている。そんな中、東アジアの3大エコノミーである中国、日本、韓国の間の経済貿易協力が各方面の関心を呼び起こしている。3カ国はアジア経済繁栄の重要な支柱として、また世界経済成長の重要な礎石として、昨年はアジアの経済成長に対する貢献度が70%、世界の経済成長に対する貢献度は36%に達した。このほど「北東アジアの平和の協力のための共同宣言」が発表されたことに加え、中国が提唱した「1ベルト、1ロード」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)戦略が継続的に推進されており、専門家は、「3カ国が相互に『力を借り』合い、市場を共有することは、アジア経済の活性化と世界のニーズ掘り起こしに極めて需要な意義をもっている」と指摘する。「人民日報」海外版が伝えた。
▽アジア内部市場は「大きい」
世界経済を全体として1ホールのケーキに例えるとしよう。統計に基づくと、中日韓3カ国の国内総生産(GDP)と対外貿易額の合計は16兆ドル(約1946兆2400億円)に達しており、ケーキの約5分の1を占めることになる。アジア経済の「牽引役」として、3カ国がさらなる協力をどのように進めるかは、3カ国がそれぞれに回答を探している問題だ。今回再開した第6回中日韓首脳会談で、国務院の李克強総理はこの問題への回答に触れ、「氷を溶かす」6項目のプランをうち出し、中でも中日韓自由貿易協定(FTA)の構築を加速させることが「最重要案件」になるとの見方をうち出した。
学術関係者の予測によると、15億を超える人口を抱えた3カ国のFTAが成立すれば、現時点での中国のGDP成長率は1.1~2.9%上昇し、韓国は2.5~3.1%上昇し、日本も0.1~0.5%上昇することになる。韓国貿易協会国際貿易研究院の李鳳傑研究員は、「中日韓FTAの構築はより緊密な経済・貿易協力をもたらすだけでなく、アジア経済一体化プロセスを切り開くものでもある」と話す。
復旦大学発展研究院金融研究センターの孫立堅センター長は、「中日韓3カ国の経済貿易や投資の協力の基礎自体には非常に厚みがあり、客観的な市場ニーズも3カ国に経済貿易協力の取り組みを強化することを求めている。強大な生産能力の基礎がありながら、日韓両国は現在、外需の減少と内需の不振という困難に陥っている。客観的にみて最良の選択は中国とともに第3国市場を開拓し、お互いに『力を借り』合いながら、生産能力を消化すること、またさらなる開放の枠組の下で川上から川下に至る産業チェーンの全体的効率をまとめ、これを向上させることだ」と話す。
▽国際生産能力の協力は「広い」
現在、世界経済がそれほど好調でないという大きな環境に直面して、中日韓3カ国はいずれもモデル転換・バージョンアップ、新たな経済成長源の模索という圧力に直面している。これについて中国が出した「処方箋」は、工業システムの整備、設備製造業の集積・施工建設能力の強化、自国のコストパフォーマンスの強みと韓日の先端技術との結合であり、周辺国の発展ニーズと連携することだ。重点はインフラ建設、工作機会、建築材料、電力などの分野で国際生産能力協力を展開し、「3カ国の協力による新ブランド」をうち出すことだ。
これと同時に、3カ国間の産業チェーンと生産ネットワークもそれぞれが提起した発展戦略を通じて効果的に連携することができる。国家発展改革委員会マクロ経済研究院対外経済研究所国際経済協力研究室の張建平室長は、「たとえば中国の『大衆による起業・イノベーション』と韓国の『創造経済』、中国の『メードインチャイナ2025』と韓国の『製造業革新3.0戦略』などの戦略の連携は、実際には産業チェーンの協力に基づくのであり、双方がモデル転換・バージョンアップを通じて国際競争力を共に向上させることを促進する」と話す。
孫センター長は、「中日韓の経済貿易協力はアジア経済という盤面を活性化させるための重要な一歩であり、東アジア経済の活性化は世界経済全体を牽引する上で計り知れない意義をもつ。中日韓の新たな生産能力協力を通じて、アジア市場にニーズを呼び起こし、さらには欧米諸国がアジア諸国の後を追って川上から川下に至るより合理的な産業チェーンとより効率の高い国際分業協力システムを形成することを促し、また絶えず雇用を創出することになる。世界全体の発展の『エンジン』になる」と話す。
▽地域経済の注目点は「新しい」
アナリストの間で一般的な見方は、「今、イノベーションを通じて地域経済の新たな成長源を育成しなければ、世界の競争の中で『不敗の地』に立つことはできない。グリーン・環境保護、バイオテクノロジー、医療、電子商取引(eコマース)、ソフトウエア、文化コンテンツなどの高付加価値の新産業も、『1ベルト、1ロード』などの地域協力の新戦略も、どちらも3カ国やアジアの経済の繁栄を支える重要な役割を果たすことになる」というものだ。
孫センター長は、「従来の消費の注目点が絶えず新たな需要に取って代わられており、不断のイノベーションを通じて、新たな経済成長源を育成しなければ、ともに直面する生産能力の過剰という問題を効果的に解決し、相互利益・ウィンウィンを実現することはできない」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年11月9日
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