上海豫園旅遊商城株式有限公司が日本のスキーリゾートを買収、春秋集団が日系企業と提携して日本でホテルを開業、旅行予約プラットフォームの同程旅遊が日本の旅行会社と合弁会社を設立などなど……。最近の報道を振り返ると、中国企業が日本の「陣地」に進出して産業チェーンを形成するのが一つの流れになっており、競争が日に日に激化していることがわかる。「北京商報」が伝えた。
豫園旅遊は今月10日に公告を発表し、9億4700万元(約181億6922万円)で日本の星野リゾートトマムを買収することを明らかにした。星野リゾートトマムは北海道・トマムにあるスキーリゾート施設で、757室のホテル、25本のスキーコース、18ホールのゴルフ場などを擁する。豫園旅遊はこのプロジェクトへの投資について、「今後は中国人観光客の取り込みに力を入れるなどして収益を上げることが可能」としている。これに先立ち、春秋集団も10月28日、日本のサンフロンティア不動産と提携してホテル産業に乗り出し、日本の主要都市でホテルを開業することを明らかにした。同程旅遊も今月4日に日本のHISと合弁会社を設立すると発表し、新会社は日本の旅行資源の統合と調達を主に手がけるとした。日本に進出しての事業展開だけでなく、多くの中国企業が訪日観光の普及拡大で絶えず新たな試みを行っている。今月6日には中信旅遊総公司と日本のJTBグループが共同出資したJTB新紀元国際旅行社が、北京で日本観光体験店舗を初オープンさせた。
中国企業がしきりに日本に乗り込んでいくのは、日本市場が再び熱くなったことが主な原因だ。中国企業が日本の資源を手がけようとする実際の目的は、市場シェアを獲得することにある。シンクタンク易観智庫の朱正煜アナリストは、「観光目的地でのサービスは観光体験に影響する重要な要因。同程や春秋のような旅行関連企業にとって、目的地の資源を把握しコントロールすることは、サービスの質を把握しコントロールする上で最も直接的かつ最も確実な方法になる。企業にとってみれば、現地市場に進出して産業チェーンにおける自社の事業のカバー面積を拡大できれば、収益環境がより豊かになる。中国企業が日本に進出すれば、中国人観光客をカバーできるだけでなく、日本での観光事業への波及も可能になる」と分析する。
また同アナリストは、「日本の文化的背景は中国と類似点が多く、投資の方向性は明確で、リターン周期も欧米市場への投資に比べてやや短い。これが中国企業が日本に熱を上げるもう一つの原因だ」と話す。
日本はこれまでずっと中国人観光客の人気旅行先で、円安の後押しや東南アジアの安全への懸念などを受けて、東南アジアを旅行しようとしていた人の多くが日本市場に行き先を変えた。データの統計によると、今年9月末現在、中国の訪日観光客数はのべ380万人に達し、昨年全体ののべ240万人から大幅に増加している。春秋集団の王正華会長はホテル産業進出の発表に際して、「昨年、春秋(航空)は重慶や武漢など一連の内陸都市と大阪とを結ぶ路線を開通させ、搭乗率は95%以上を保っている。大手航空会社もただちにこれにならい、大阪のホテルは繁忙期には供給不足に陥っている」と述べた。
中国企業が相次いで日本の目的地資源に乗り出すと同時に、日本企業も動き出そうとしていることに注意が必要だ。報道によると、ソフトバンクグループはこのほど、オンライン旅行会社を設立してインバウンド国際観光事業を手がけ、アリババ(阿里巴巴)傘下の旅行サービスプラットフォーム・阿里旅行と提携し、主にフリーツアー客向けに主要観光ルート以外の観光地資源・サービスを提供することを明らかにした。日本紙「日本経済新聞」の中国語版の10月10日付報道によると、日本航空と全日空は日本に到着する航空便の燃油付加運賃(燃油サーチャージ)を取り消すという。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年11月17日
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