トルコ・アンタルヤで開催された主要20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)に出席した習近平国家主席は現地時間の15日、中国の経済成長の年間目標値を改めて明確にうち出し、「中国は今後5年間も引き続き7%前後の経済成長ペースを維持する」と述べた。中国の業界には、今年の経済情勢が全体として圧力に直面する中、構造改革の推進にともなって、中国経済は引き続き開拓可能な潜在力を秘めるが、7%前後の目標達成にはより多くの「ツール」を駆使する必要があるとの見方が広がる。「北京商報」が伝えた。
▽経済成長ペースには目標と最低ラインあり
習主席はG20サミットで、「今年の中国経済は7%前後の中くらいのペースの高度成長を達成し、引き続き世界の経済成長の約3分の1を担うことになる。今後5年間、中国はイノベーションが駆動する発展戦略の実施を踏まえ、新型の工業化、情報化、都市化、農業現代化の発展を推進し、グリーン・低炭素の発展の道を歩み、経済の中くらいのペースの高度成長を維持する。さきに国家発展改革委員会がうち出した6.52%という『最低ライン』と合わせると、第13次五カ年計画機関の中国経済は目標と最低ラインを備えた成長の範囲を明確にうち出したといえる」と述べた。
同委発展計画司の徐林司長は14日に北京大学国家発展研究院で行われたCMRC中国経済観察報告会で発言し、「2020年に国内総生産(GDP)と都市部・農村部の一人あたり平均所得を10年比で2倍にするとの目標の達成を確実にするには、今後5年間の年平均経済成長ペースが6.52%に達していなければならない。そうなれば国民総生産(GNP)は倍増を実現できる」と述べた。
▽経済成長に圧力 構造改革を推進
別の角度からみると、中国の経済成長ペースは中くらいの高度成長を維持する力をもたなければならないとはいえ、経済情勢にはなお大きな圧力が存在するといえる。国家統計局がこのほど発表したデータによると、経済のバロメーターとされる工業生産増加率は9月に大幅減少し、全国の一定規模以上の工業企業(年売上高2000万元以上の企業)の生産額は前年同月比5.7%増加にとどまり、3カ月ぶりの低水準となった。対外貿易活動指数も引き続き低水準にとどまった。第1~3四半期の輸出入額は同7.9%減少し、このうち輸入は7兆6334億元(約147兆6706億円)で同15.1%減少し、低迷傾向が実質的に改善されていない。
従来型の業態が徐々に衰退に向かう中、経済成長の牽引という重い役目が構造改革の肩の上に乗りつつある。習主席は今月10日に開催された中央財経指導チームの第11回会議で、「総合的需要を適切に拡大すると同時に、『供給側の構造改革』の強化に力を入れる」ことを強調した。申銀万国の李慧勇チーフマクロアナリストは、「供給側の構造改革は政府に5つの方面から改革を進めることを要求する。減税、独占の打破、権限委譲・利益譲渡、遅れた生産能力の淘汰の加速、国有企業改革の5方面で、需要の管理を拡大し、有効な供給を増加することが求められる」と話す。
経済の短期的な成長は需要を喚起することで実現可能だが、中長期的にみると供給側が経済発展の重点になり、供給側が経済の潜在的成長率だとさえ言える。徐司長は、「中国には発揮することが可能な成長の潜在力がまだたくさんあり、中央政府は供給側の構造改革が必要だとの見方をうち出した。その主な原因として、中国にはグレードアップされた、質の高い消費ニーズがありながら、現在の供給システムの下では十分に対応できていないことが挙げられる。中国の現在の一人あたり平均収入が約7600ドル(約93万7536円)であることを踏まえれば、文化娯楽の消費支出が支出全体に占める割合は20%前後になるはずだが、実施には都市部でも8%あまり、農村部では4%しかなく、世界の平均的支出割合に比べて大きな開きがある」と話す。
▽第4四半期の経済活性化 政策は複数を一斉に
今年の経済成長を確保し、来年の基礎固めをするために、業界の専門家の多くが、「中国は複数の政策をうち出し、第4四半期(10-12月)の経済を活性化するだろう」と予想する。注目に値するのは、政府が財政、金融、投資の審査をめぐる措置を徐々に展開していることで、緩和された金融政策と積極的な財政政策を実施するだけでなく、続けて金利引き下げや預金準備率引き下げなどの政策ツールをうち出そうとしており、特に小規模・零細企業に的を絞った預金準備率引き下げをうち出そうとしている。同時に、中長期貸出などの措置も取るとみられる。
北大光華管理学院の曹鳳岐教授は、「財税、金融、国有企業などの改革は供給側の改革の突破口になる。だが企業が減税や免税、資金調達上の便益などのメリットを享受することができなければ、供給側の改革などお話にならない」と指摘する。国家情報センター経済予測部マクロ経済研究室の牛犁室長は、「年末が近づいた今、現在の状況から考えて、中国の第4四半期のGDP成長率は7%から遠く離れることはあり得ない。今年の7%前後の成長ペースを達成するのにさして大きな問題はない」との見方を示す。(編集KS)
「人民網日本語版」2015年11月18日
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