中国クリーン大気連盟事務局が20日に発表した「大気汚染防止行動計画(2013―2017)の実施をめぐる投融資需要と影響」と題する研究報告によると、大気汚染防止行動計画の実施に必要な直接投資額は1兆8400億元(約35兆4千億円)に達する見込み。中央財政による投入額と実際に必要な額のギャップはかなり大きく、中国の大気汚染対策をめぐる資金不足問題は、依然深刻な状態が続いていることが判明した。中国青年報が伝えた。
中国の大気汚染はこの2年、深刻な状況となっている。国務院は2013年9月、「大気汚染防止行動計画(2013―2017)」(大気十条)を発表した。同計画の徹底実施をめざし、各地政府も次々と対応案を打ち出した。
専門家は、各地の取り組みについて、次のとおり指摘した。
努力が不足していた訳ではなかった。だが、大気汚染防止分野での管理経験と資源不足という状況のもとで、多くの地方が、「大気十条」に定められた大気の質改善目標をクリアするべくさまざまな課題に挑み、国家の大気の質基準(PM2.5年平均値1立方メートルあたり35マイクログラム)、さらにはWHO(世界保健機関)の指導基準(1立方メートルあたり10マイクログラム)なる目標を達成しようと試みたが、現実にはかなりの困難が伴った。
今回の報告は、中国環境保護部(省)環境計画院と南京大学による専門家チームが、2年あまりにおよぶフィールド調査、研究、統計、分析、推計を取りまとめて完成させた。報告によると、全国大気汚染防止行動計画の実施にあたって必要な直接投資額は1兆8400億元と、以前の予想(1兆7千億元=約19兆2300億円)を8%上回った。必要投資額を項目別で見ると、全国エネルギー構造の合理化が2884億元(約5兆5500億元)、汚染源の移動・防止処理が1兆4067億6600万元(約27兆600億円)、工業企業の汚染処理が915億4400万元(約1兆7600億円)、ノンポイント汚染源(汚染物質の排出源が面的に散在し特定することが困難な汚染源)の処理が615億7200万元(約1兆1200億円)。大気汚染対策のための必要直接投資額を3大重点エリア別で見ると、北京・天津・河北エリアが2490億2900万元(約4兆8千億円)、長江デルタエリアが2384億6900万元(約4兆6千億円)、珠江デルタエリアが903億5800万元(約1兆7400億円)。統計データによると、北京・天津・河北エリアでの投資で最も必要とされる項目は工業企業の汚染処理、長江デルタエリアと珠江デルタエリアは汚染源の移動・防止処理だった。
報告によると、中国には今のところ、大気汚染対対策を安定的かつ効果的に実施するための投融資体制が確立されていない。また、中央財政による投入額(2013年は50億元、2014年は100億元)と実際の需要額との間には、かなり大きなギャップが存在する。このような状況から、中国の大気汚染対策は引き続き、全体的な資金不足に陥っており、「政府財政だけに過度に依存している」「融資ルートが単一」といった問題が解決されないままだ。
報告では、具体的な提案が以下の通り打ち出された。
1 大気汚染対策のために、例えばモデル事業によるインセンティブといった国家経費など、さまざまな資金源から資金を調達する必要がある。また、地方政府も、汚染物質排出費の徴収や汚染物排出企業からの罰金の徴収など、現地における資金調達ルートを拡大することも可能だ。
2 民営企業からの投資奨励や政府・民間合弁によるパートナーシップ提携を模索する。
3 定期的な公共財政支出の実績評価を通じて、資金の使用効率・効果を高める。地方政府は、計画の重複実施を避けるため、同一エリアのその他政府と資源統合や資源共有を行うことを検討することもできる。(編集KM)
「人民網日本語版」2015年11月20日
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