中国の高速鉄道の「スーパーセールスマン」の役割を果たしてきた李克強総理がこのほど、一連のASEANサミット出席とマレーシア訪問の多忙なスケジュールの中で、中国の鉄道の海外進出を再び強力に後押しした。人民網が伝えた。
訪問終了と帰国をひかえた23日午後、李克強総理は、マレーシアのナジブ首相との会談で、中国側の技術とコストの優位性をマレーシア側のインフラ建設の必要性と結びつけ、マレーシア・シンガポール高速鉄道の建設やマレーシア南部への鉄道建設などのプロジェクトの展開を積極的に検討する方針を明らかにした。
この2日前、滞在中のホテルでラオスのトーンシン首相と会談した際には、李克強総理は、「中国・ラオス鉄道を建設し、地域協力と相互連携・相互接続のモデル事業とする」ことの必要性をアピールした。第18回中国・ASEAN(10+1)首脳会議に出席した際にも、李総理は、「アジア横断鉄道の建設を積極的に推進し、中国・タイ鉄道や中国・ラオス鉄道などの重大プロジェクトの年内の起工を目指す」ことを呼びかけた。
李克強総理は「鉄道外交」を強く打ち出してきた。大まかな統計によると、李総理は2014年、高速鉄道建設での協力の意向を12カ国に対して示した。李総理が今年年初に中国北車長春軌道客車株式有限公司(鉄道車両メーカー)を視察した際には、従業員らが李総理による「スーパーセールス」に感謝する横断幕を掲げた。
中国の高速鉄道は中国外交の新たな「名刺」ともなっている。「世界の十字路」と言われる米ニューヨークのタイムズスクエアのナスダックの電光掲示板には2014年2月3日、中国製の高速鉄道列車がさっそうと登場した。同年のブラジルサッカーW杯では、世界各地のサッカーファンが中国製のライトレール車両でW杯会場に運ばれた。
こうした動きの背後には、李克強総理の休むことのない努力がある。タイの政局の不安定で進展が妨げられていた中国・タイ鉄道プロジェクトは2013年以来、李総理がプラユット首相と外交場で顔を合わせるごとに、両国がすでに達成した共通認識の合意を実現しなければならないと強調し、「鉄道と農産品での貿易協力」を強く促したことで、中国とタイの両国は合意を回復しただけでなく、さらなるアップグレードも実現した。
またインドネシアの高速鉄道プロジェクトは様々な紆余曲折を経て、中日両国が激しく競争した。今年3月27日、ボアオ・アジア・フォーラムの2015年年次総会に出席したインドネシアのジョコ・ウィドド大統領と会談した李総理は、「中国政府は、高い実力と優れた資質を持つ信用度の高い中国企業がより多くインドネシアでの投資・産業振興に乗り出し、高速鉄道やライトレールなどのプロジェクトの建設に参加することを奨励する」と語った。
半年後の10月16日、中国の高速鉄道の海外展開が歴史的なブレークスルーを果たしたことを象徴する中国・インドネシア鉄道プロジェクトの締結が実現した。中国の関連企業連合体とインドネシアの国有企業連合体は正式に合意書に署名し、インドネシアのジャカルタからバンドンを走る高速鉄道の建設での協力を決定した。
中国・タイ鉄道やマレーシア・シンガポール鉄道、中国・ラオス鉄道、これらの背後にあるのが、アジア横断鉄道網という構想である。1960年代に打ち出されていたこのコンセプトは、冷戦などの政治と経済の原因によって一度は頓挫していた。1995年のASEAN第5回首脳会議で、アジア横断鉄道は再び打ち出され、ASEAN首脳と中国政府との賛同を得た。
香港「文匯報」は論説で、欧州は、欧州各国を連結する欧州を横断する鉄道を建設したことで、地域全体の経済・社会が急速に発展したと指摘した。東南アジアさらにはアジア全体が鉄道でつながり、巨大な鉄道網が形成されれば、世界で第三のユーラシアランドブリッジがかかることになる。アジア横断鉄道の形成によって、東南アジア各国はさらに、昆明を通って中国の西部地域に入り、第二のユーラシアランドブリッジへと連結することもできる。これはアジア・欧州・アフリカの3大陸を連結する最大のルートとなるとともに、太平洋・印度洋・大西洋をつなげる壮大なランドブリッジとなる。
李克強総理が語ったように、「誠意、友好、相互利益、ウィンウィン」の歴史的な道は、(大航海で知られる明代の)鄭和の時期にすでに開かれていたものであり、舞台は海洋から大陸に映ったものの、依然として中国の絶え間ない努力が向かう目標となっている。(編集MA)
「人民網日本語版」2015年11月25日
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