国際通貨基金(IMF)は11月30日、人民元を「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に採用することを正式に決定。これについて、世界各国のメディアがポジティブに評価している。
ロイターは、人民元の「SDR入り」は中国の金融改革と人民元の国際化に重要な影響を与えると指摘。各国が保有する人民元建て資産の信用力を高め、人民元を自国の外貨準備に組み入れる国が増えるとの見方を示した。市場では、2020年までに世界の外貨準備に占める人民元の割合が現在の1%から5%に拡大するとみられている。
英フィナンシャル・タイムズは、人民元がSDRの通貨構成比でドル、ユーロに次ぐ第3位の通貨となることについて、中国政府が長年に渡って経済改革を推進してきたことが高く評価された結果であり、中国経済の今後に対する信頼感の表れでもあると評価。開かれた中国の国内資本市場は、各国の政府系ファンドや機関投資家に大きなビジネスチャンスをもたらすとみている。
ドイツ銀行のウルリッヒ・ステファン・チーフストラテジストは、人民元の「SDR入り」には象徴的な意義があると指摘する。IMFの「お墨付き」は、中国の通貨と中国経済が世界的に重要な地位にあると承認したことを意味する。現在の流れから見て、市場の人民元建て国債への需要は今後も安定傾向が続き、人民元への圧力も軽減する見込みだという。
人民元のSDR正式採用のニュースは韓国でも注目されている。韓国の中国との貿易規模は非常に大きく、中韓FTA協議も年内に発効するとの見通しが背景にある。韓国メディア「ETNews」は、「人民元が第3の国際通貨に躍進」と題した社説で次のように分析する。「人民元はSDR採用後、世界の金融市場での地位が急上昇する見通し。人民元のSDR通貨バスケットでの構成比に基づき、各国の中央銀行は自国の外貨準備を調整するため、人民元の需要は大幅に増加する。2025年には、世界の外貨準備に占める人民元の割合は現在の0.3%から10%に拡大すると予想する」。
シンガポール最大の華字紙「聯合早報」のニュースサイトによると、現地の経済アナリストの間では、人民元のSDR採用後はシンガポール企業の貿易における米ドルへの依存度が低下するとの見方が一般的だ。一方では、企業の取引・買収コストの軽減にもつながるため、シンガポール企業が貿易決済で人民元を使用すれば一段と利便性が高まるとしている。
インドネシア中央統計局の副局長は「経済日報」の取材に対して、人民元の「SDR入り」はインドネシアの外貨準備の構成通貨と対外決済通貨の多様化を促すと指摘。インドネシアは中国と通貨スワップ協定拡大で合意したばかりであるため、人民元建て決済は一段と採算が取れる。これは外部経済の変動や米ドル、ユーロ安などのリスクに対するインドネシアの対応力向上につながり、経済の難局を乗り切る一助になるとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年12月2日
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