流動人口の戸籍登録問題に関し、先日相次いで発表された二大政策「北京市ポイント制戸籍管理弁法(意見募集稿)」と国務院公布の「居住証暫定条例」が人々の注目を集めている。専門家はこの一連の政策に関して、中央政府と地方政府が大都市への人口集中に対する厳しいコントロールと、流動人口の「同城待遇(戸籍にかかわらず、同じ都市に住む人に義務教育の面で同じ待遇を与えること)」の最適なバランスを模索しようと共に積極的に取り組んでいることを示していると指摘している。北京日報が伝えた。
北京と上海は「ハイエンド」傾向、広州と深センは範囲をさらに広く
現在、大都市のポイント制戸籍登録の指標システムは主にポイントの加点と減点の二つの部分からなる。
○戸籍登録エリア
北京、上海、広州はいずれもポイント制戸籍登録のエリアガイドを提出している。その中で北京は人口を街の中心地以外に分散させるべく、申請者の勤務地と居住地ごとにポイントの加減を実施する。上海は居住証所有者が上海市が重点的に発展を促す遠い郊外地区で勤務および居住した場合、1年ごとに2ポイント加算し、さらに5年後には総ポイントにも加算され、最高で20ポイント加算となる。広州は「政策ガイドエリア」の場合、10ポイントが加算される。
○経済推進力
北京は産業の移転と起業に対しポイントの加減を設定しており、後進産業の移転という指導方針に違反した場合、申請者は減点となり、起業方面で条件が合致した場合は加点となる。上海、広州、深センでは投資が現地に雇用をもたらした場合、加算するように設定している。
○学歴と職歴
北京は大卒及びそれ以上の学歴を持つ申請者にはポイントが加算され、申請者の学歴への要求の高さがうかがわれる。一方の広州、深センはポイント制戸籍登録政策の受益者の範囲をより広く設定しており、学歴が大卒以下の申請者のポイントについても明記している。
○社会貢献度や付加価値
深センは献血、科学的発明やイノベーション、ボランティア、慈善等においてポイントを設定している。広州は申請者の卒業校によってポイントを設定している。
専門家は「北京と上海は資源環境収容力の大きな圧力に直面している一方で、広州と深センはその発展空間や環境収容力が北京や上海に比べ優れていると共に、経済と社会の発展における各種人材のニーズも高まっている。そのため、広州と深センの指標システムは範囲がさらに広く設定されており、一方の北京と上海はハイエンドが強調されている」とする。
戸籍登録合格ラインは政府が動的調整
実際はポイント数にかかわらず、最終的に政府が提出する合格ラインに基づき戸籍登録が決定されることとなり、事実上政府が戸籍登録総数の決定をコントロールする。例えば上海と広州は毎年ポイント政策が調整される。北京の意見募集稿でも、市政府がその年の人口コントロール状況に応じて毎年の戸籍登録合格ラインを公布するとされている。なお、ポイント制戸籍登録は毎年1回しか申請することができない。
また多くの都市がポイントランキングと最終的に戸籍登録資格を獲得した個人の情報公示を表明しているものの、現時点では、ポイントの合格ラインの説明や戸籍登録資格を獲得した個人のポイント数はほとんど公開されていない。
戸籍の解放と人口密集解消を同時に推進
北京、上海、広州、深センのポイント制戸籍登録政策が相次いで発表されるのと同時に、12月12日に国務院は「居住証暫定条例」を公布し、非戸籍登録者が居住地で受ける義務教育・基礎的な就業支援サービスなど9種類の基本的公共サービスと、出入国書類・自動車登録手続など7つの利便化措置について明確に規定している。
専門家はポイント制戸籍登録政策を利用し、積極的に流動人口の「同城待遇」を実施していく一方で、居住証政策と組み合わせ、ポイント制戸籍登録申請者が「狭き門に殺到する」ことを防止すべきと指摘している。公安部の関係者は2014年に、「居住証制度は、居住年限等の条件とマッチさせた健全な基本公共サービスを提供する体制を構築し、すでに都市に居住、就業しながら戸籍登録されていない農業移転人口やその他常住人口の教育、就業、医療、年金、住宅保障等方面での問題点を解決するための一過性の制度に過ぎない」と語っている。
また暨南大学管理学院教授の胡剛氏は、中国の都市化の過程で、人口はますます大都市へ集中することになるだろうとし、このような現状において、人口のコントロールと戸籍政策の順次緩和は同時に推進していく必要があり、バランスを欠いてはならないとしている。(編集TG)
「人民網日本語版」2015年12月15日
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