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新たな経済発展モデル-インターネットプラスへの期待

 

文=日中経済協会北京事務所副所長 高見澤学

「相互接続・共に享受、共に管理、サイバー空間運命共同体の共同構築(互聯互通、共享共治,共建網絡空間命運共同体)」をテーマとする第2回世界インターネット大会(世界互聯網大会:World Internet Conference)が12月16日から18日まで、浙江省嘉興市桐郷市烏鎮で開催される。中国のみならず海外諸国にとってもインターネット産業の今後の発展は重要課題の一つになっているようだ。

インターネットの普及によって世界は革新的に便利になった。遠く離れた家族や友人との会話や連絡、仕事・趣味などでの情報収集や意見のやり取りのほか、今では買い物までインターネットで行うことができるようになった。今年3月に遼寧省瀋陽に出張した際、日系家電量販店の店舗を訪れた。その店舗は瀋陽市の繁華街にあることからひときわ賑わっていると思いきや、店の中に入ると客はまばら。同行してくれた現地事務所の駐在代表によると、今の若者は家電のみならず、日用品や食品までほとんどのものをインターネットで購入しており、店に来て買い物することは稀なことだという。インターネット販売は、地価の高い繁華街に店舗を構える必要はなく、店員やショーケースなど飾り付けも不要のため、販売コストを大幅に引き下げることができる。ホームページで写真や価格・機能等を表示しておけば、顧客にとって必要な基本情報は簡単に入手でき、さらには実際に利用しているユーザーからの声も聞くことができる。今現実に生じているインターネットに依存した情報化社会の到来が前世紀後半に社会学者のダニエル・ベルやアルビン・トフラー等などによって予言されていたことは、今年10月21日のチャイナネットの記事でも紹介した が、果たしてここまで一気に進んでしまうと、人々の意識が追い付いていかないのではないかと危惧してしまう。

歴史を振り返ると、技術の進歩は便利を求めて実現してきたともいえるが、人類が便利で豊かになる反面、大きな矛盾を生み出してきたこともまた事実である。もちろんインターネットの普及もその例外ではない。より広範囲により多くの情報のやり取りが技術的に可能になったことで、知らないところで個人情報が盗み取られ犯罪に利用されたり、偽の情報によって多くの人が迷惑を被ったりすることも少なくない。また、日本でも近年問題となっているネット依存症に陥り、社会に溶け込めない若者の増加など、新たな社会問題も生まれている。これらの問題を解決するため、今回の大会で「管理」がキーワードになったのだろう。

その一方で、今やインターネットは世界経済の発展に欠かすことのできない産業になっている。農林水産業や鉱工業でも原材料の調達から製品管理、製品販売まで幅広くインターネットが利用され、すでに現場と市場とが直結している印象を受けざるを得ない。中国では盛んに発展方式の転換が叫ばれており、その実現のためには「中国製造2025」とともに打ち出された「インターネットプラス(互聯網+)」戦略が、これからの中国を経済大国から経済強国へと発展させるカギを握っているといえよう。中国でのインターネットの普及は長足の進歩を遂げ、職場や自宅はもちろんのこと、ホテル、空港、レストラン、駅など、多くの公共施設でWifiが設置され、どこでもインターネットに接続することが可能となっている。筆者の個人的な感覚ではあるが、このことは技術大国といわれる日本よりも進んでいるように思える。中国におけるインターネットの発展は、技術やインフラ整備の後発優位性を活かし、既設のハードによって身動きの取れない先進国を越えて、一歩先んじているところも少なくない。中国でのこのインターネットを活用した経済発展モデルが、今後の世界の経済発展の標準となるとの予感がしてならない。

(本稿は筆者個人の意見であり、所属機関を代表するものではありません。)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年12月16日

 

 

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