12月20日、青島税関の職員が中韓自由貿易協定(FTA)発効後初の輸入通関手続きを実施。写真は輸入関税が引き下げられた液体硫黄の通関手続きを行っているところ。
中国-韓国と中国-オーストラリアの自由貿易協定(FTA)が12月20日に発効した。中国は現時点までに14件のFTAを締結しており、そのうち12件が発効済み。相手は22の国と地域に渡る。中韓FTAは国別の貿易額としては最大、中豪FTAは貿易投資の自由度としては最高水準のFTAとなる。FTA発効後は、多くの消費者が自国内でより実利的な輸入商品を買うことができるようになる。
中韓・中豪FTAは20日に発効し、第1回目の関税引下げが実施された。2016年1月1日に、第2回目の引下げが行われる予定。
中韓・中豪FTAは、一定の移行期間を経て、ほとんどの対象貨物が最終的にゼロ関税を実現する見通しだ。中韓FTAの移行期間は最長で20年。移行期間経過後、韓国は中国を原産地とする貨物の92%の税目について、中国は韓国を原産地とする貨物の91%の税目についてゼロ関税を実現する予定。中豪FTAは、オーストラリアが5年以内に、中国産貨物の全てについてゼロ関税を実施する。中国は最長15年の移行期間を経て、オーストラリア産貨物の96.8%についてゼロ関税を実施する。
2015年は中国のFTA戦略の実りの年だった。アジア太平洋地区の重要な経済国として、中韓FTAはひとつの道標としての意味を持つ。中豪FTAも、アジア太平洋地区の高度経済成長に向けた手本となる。
「中韓・中豪FTAは貿易量が大きく、その貿易創出効果や貿易転換効果を考えると、両FTAともに発効後は、優遇関税対象貿易量の急成長が見込まれる」中国税関総署関税征管司の徐慧筠副司長は、このような見通しを示した。
中国税関の大まかな予測では、2015年上半期の貿易量に基づけば、中韓FTA実施初年度は中国からの輸出貨物260億米ドルと、韓国からの輸出貨物200億米ドルが関税優遇の対象となる。中豪FTAについては、中国からの輸出貨物200億米ドルと、オーストラリアからの輸出貨物150億米ドルが関税優遇の適用を受けられる。
税関総署原産地管理専門家の宋彦魁氏は、「関係各国はFTAを通じて協力を深め、互恵関係の新たな局面を切り開くことが可能になる」との見方を示した。中豪FTAで、オーストラリアが輸出するのは主に資源型製品だ。一方で、中国はIT関連、玩具、一部の労働集約型製品を主に輸出し、製品構成上で強い補完関係にある。中韓FTAは、より低い関税適用とより大きな市場の拡大にとどまらず、企業の産業チェーンの緊密化と双方の競争力向上を実現するうえで重要な意味を持つことになる。
「これまでの統計によると、韓国の対中輸出製品も中国の対韓輸出製品も、機械・電子製品、化学工業製品などが多く、双方とも似通っている。しかし、中国のほうが産業チェーンでは全体として低い水準にある」。青島税関関税処の呉瑕処長は、「大規模な輸入は、中国国内の同種の製品と摩擦を起こす可能性がある。一方では、国内資本と韓国の技術やブランドについて融合を迫ることにもなり、産業のモデル転換と高度化にプラスに働く」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2015年12月21日
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