2016年の中国のマクロ経済政策の方向性と重点を定める中央経済工作会議が21日、北京で閉幕した。会議で明らかになった情報から、来年の中国経済政策の7つの重要な見どころを以下にまとめた。
○安定成長は「供給側の改革」を重視
各界のこれまでの予想通り、会議では、安定成長を実現する上で、供給側の構造改革を「いっそう重視」することが指摘された。
この原則は政策に体現される。すなわち、産業政策を通じて、製造強国の建設とサービス業の発展を加速し、新たな成長点の形成を推進し、遊休資産を活性化させ、不足を補う。また、ミクロ政策を通じて、各種所有制の企業の革新的な発展を奨励・支援し、効果的な供給能力を高め、新たな供給を創造し、供給の質を高めることで、消費需要を拡大する。
○マクロコントロールは「予想を安定させる」ことを重視
会議では、マクロコントロールを実施する際、市場行為と社会の心理・予想を導くことを重視しなければならないと指摘された。今年に入ってから、上層部は逆周期的な調節を強化し、市場の予想を安定させることを幾度も提起してきた。
中国国際経済交流センター・経済研究部部長の徐洪才氏は、「経済の将来性に対する市場主体の悲観的な予想は、互いに伝染しやすく、すでに不足している需要をますます減らし、経済を悪循環に陥らせる。市場の予想を安定させ、悲観的な論調を自ら防ぐことが、中国経済にとって極めて重要だ」と語る。
○構造調整は「足し算、引き算、掛け算、割り算を並行して進める」
会議では、産業構造の調整において「足し算、引き算、掛け算、割り算の同時進行」を重視することが初めて指摘され、生産能力過剰の解消が来年の経済業務の5大任務のトップに掲げられた。
これは、中国が伝統的業界を改造し、収益能力のない「ゾンビ企業」を市場から退出させると同時に、新たな産業の育成・発展を加速していくことを意味する。行政のスリム化と権限 委譲、企業の債務負担の軽減のほかに、企業の技術改造と設備更新への支援を強める。
○段階的に財政赤字率を高める
会議では、段階的に財政赤字率を高め、減税政策を実行することが明確にされた。
政府はこれまで様々な場において、積極的な財政政策に力を入れるよう求めてきた。減税と支出の増加はまさに、積極的な財政政策に有るべき措置だ。
2015年の中国の財政赤字率は2.3%と、国際的な警戒ラインの3%を下回った。光大証券のチーフエコノミスト・徐高氏は、「現在、中国の経済回復がまだ不安定であり、金融政策の伝達メカニズムがスムーズでないことから、積極的な財政政策を強化し、適度に赤字率を拡大することは、経済成長を安定させる上で重要な役割を果たす」との見方を示す。
中国財政部(財務省)財政科学研究所副所長の白景明氏は中国新聞社の取材に対し、「財政赤字は今後、需要拡大とリスク防止のバランスをより一層重視することになる。減税の拡大は、財政の負担能力を超えないことを前提とし、財政収支の矛盾を悪化させないようにすると同時に、産業・金融政策と提携しつつ実施することになる」と指摘した。
○時代遅れの制限措置の撤廃
会議では「不動産の在庫解消」が2016年の経済業務の5大任務の1つに掲げられ、不動産開発業者が市場のルールに順応してマーケティング戦略を調整し、分譲住宅の価格を適度に引き下げ、時代遅れの制限措置を撤廃するよう奨励することが初めて提案された。
今年、中国の不動産開発投資は持続的に低迷し、これによって投資という経済成長の重要なエンジン全体も低迷することとなった。政府筋のデータによると、今年1~11月の全国の不動産開発投資は前年同期比の増加幅が1.3%にまで落ち込み、1~10月の増加幅を0.7ポイント下回った。
このほど行われた中国共産党中央政治局会議では、不動産の在庫を解消し、有効需要を拡大し、不動産市場を安定させることが明確に打ち出された。
○ハイレベルな双方向の開放を推進
会議では、開放の拡大に関し、ハイレベルな双方向の対外開放推進を重視することが明確に打ち出された。
現在中国はすでに資本輸出と産業輸出の段階に入っており、「1ベルト、1ロード」の建設と国際的な生産能力協力がもつ下支えの役割が日に日に顕著化している。商務部(省)のデータによると、2015年1~11月、中国の対外直接投資は国民経済のほぼすべての業界に関連しており、同時期の制造業への投資は前年同期比95.4%増、そのうち、装備制造業への投資は同117.3%増と大幅に増加した。
会議では、国際的な生産能力・設備製造協力を強化し、自由貿易区と投資協定の交渉を加速し、グローバル経済ガバナンスなどの業務に積極的に参与し、「1ベルト、1ロード」建設および、重要なランドマークプロジェクトを着実に実施することが指摘された。
○改革の力を強める
会議では、2016年は小康社会の全面的完成の勝敗を決める時期の初年であり、構造性改革推進の堅塁を攻略する年でもあると強調された。重要分野の改革の力を強め、重大な牽引作用を持つ改革措置を打ち出す必要がある。
会議によると、この「重要な分野」には、国有企業、財政・税制、金融体制、養老保険制度、医薬・衛生体制などが含まれる。(編集SN)
「人民網日本語版」2015年12月23日
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