中国の2015年「経済ホットワード」トップ10が23日に発表された。インターネットでの検索頻度を基にランキングした「経済ホットワード」を手掛かりに、過去1年の経済の焦点を振り返る。
1、第2子全面解禁
中国全国人民代表大会・常務委員会第18次会議で、第2子の出産を容認する「中華人民共和国人口と計画生育法修正案(草案)」の採択が27日に行われる見込み。16年元旦から、36年間続いた一人っ子政策に終止符が打たれる。中国共産党第18期中央委員会第5回全体会議(五中全会)での決定からわずか2カ月後に、第2子出産の全面解禁を認める改正法案が成立を迎える。
修正案(草案)は第2子の出産をめぐる政策変更を踏まえ、晩婚晩育(遅めに結婚して遅めに子供を生む)の夫婦や一人っ子を持つ夫婦への奨励を取り止める。政策の要件を満たした出産に対し、奨励として夫婦は育児休暇の延長やそのほかの福利厚生サービスを享受できる。
2、A株暴落
A株市場の投資家にとって、2015年は喜びと悲しみに満ちた1年だった。この1年は、個人投資家が7年ぶりの大相場に湧き、2000ポイントを超える大暴落も味わった。上半期の上昇相場から一転、6月中旬からの52営業日で上海総合指数が約5割下落することは、誰もが想像すらしていなかった。連日のように1000以上の銘柄がストップ安。投資家の辛い記憶となった。
株価が暴落するなか、中国証券監督管理委員会(証監会)は一連の市場救済策を打ち出した。証監会の姚剛・副主席や張育軍・助理が率いる証券会社「ナションナルチーム」も買い支えに乗り出す。しかし、皮肉にも、数か月後に「ナションナルチーム」のリーダーらに調査の手が及んだ。
3、2軒目住宅頭金
2015年に中国の不動産政策が大きく動いた。3月30日から、2軒目の住宅を購入する際の頭金比率の下限規制が、これまでの「7割以上」から一気に「4割以上」に引き下げられた。さらに、9月30日から、1軒目住宅のローンを完済した世帯が、住房公積金(公的住宅積立金)を利用して2軒目を購入する場合、頭金比率の下限規制が2割に緩和。5度にわたる利下げも加わり、住宅ローン利率は6.15%から4.9%まで低下し、ここ10年で最も低い水準を記録した。
こうした政策・措置について、不動産市場の専門家は「その恩恵が一線都市(大都市)にとどまり、三・四線都市(地方都市)への影響は限定的だ」と指摘。この状況は政府発表の月次統計にも表れている。不動産投資に一線都市の占める割合が4割を超え、歴史的な高水準になったほか、新築分譲物件は対前月比で上昇が続いた。一方、三・四線都市の不動産市場は軟調に推移。在庫の高まりと需要の低迷に苦しんでいる。
4、一帯一路
習近平・国家主席が提唱する「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)戦略は2015年、構想から実行に移った。「一帯一路」は中国でよく検索されるキーワードとなり、中国の大国イメージを代表する新たな「名刺」にもなった。中国の指導者は精力的に外交日程をこなし、沿線諸国で「一帯一路」に対する理解と共感が深まり、協力の共通認識が形成されている。
5、AIIB
アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーとして参加を表明した57カ国のうち、フィリピンを除く56カ国が9日までに設立協定への署名を終えた。
創設メンバーの払込資本金で計算すると、中国の議決権は26.06%となる。AIIBで重大事項の可決には議決権ベースで75%以上の賛成が必要となるため、中国が単独で拒否権を持つ。
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