習近平国家主席は2016年を迎えるにあたり、新年前夜に中国国際放送局、中央人民放送局、中央テレビを通じ、新年の挨拶を行った。全文は以下の通りである。
あと数時間ほど経てば、新年の鐘が鳴り響きます。2015年と別れを告げ、2016年の初日の出を迎えます。新年を迎えるにあたり、全国各民族の皆さん、香港特別行政区およびマカオ特別行政区の同胞の皆さん、台湾同胞および海外在住の同胞の皆さん、そして、世界各国、各地域の友人の皆さんに新年のご挨拶をさせていただきます。
どんなことも努力すれば収穫があります。2015年、中国国民は多くの努力をし、多くの収穫を得ることができました。中国の経済成長は引き続き世界上位を維持し、改革はすべての面に力が注がれ、司法体制の改革も引き続き深化しました。「三厳三実(「三厳」とは、厳しく身を修め、厳しく権力を使い、厳しく自分を律すること。「三実」とは、確実に事をはかり、確実に創業し、確実に身を持すること)」特別教育により政治環境の改善が進み、腐敗取り締まりも深化しました。全国各民族の共の努力によって、第12次五ヵ年計画も円満に終了し、国民は以前よりも大きな満足感を得たことと思います。
この1年、我々は中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利70周年をしっかりと記念し、盛大な軍事パレードを行い、正義と平和は必ず勝利し、人民が必ず勝利するという真理を示しました。私たちは軍の改革に取り組み、兵力30万人削減を宣言しました。また、私は馬英九氏とシンガポールで会談し、中国大陸と台湾の66年ぶりの握手を実現させました。これはまた、両岸関係の平和発展こそが共通の願いであることを物語っています。
さらにこの1年、北京市が第24回冬季五輪の開催権を手にし、人民元は国際通貨基金(IMF)から特別引出権(SDR) の構成通貨になることが承認されました。自国技術による大型旅客機C919の生産、中国のスーパーコンピューターの世界最速六連覇達成、中国の科学者が試作した暗黒物質探査衛星の打ち上げ、屠呦呦(トウ・ユーユー)氏が中国人科学者として初めてのノーベル生理学・医学賞を受賞するなど、一連の喜ばしい動きがありました。努力を続ければ夢は必ず叶うということを教えてくれる出来事でした。
しかし、嬉しいことも多ければ、心を痛めることもあった1年でした。客船「東方の星」の転覆事故、天津港の重大な火災と爆発、深センの土砂崩落など、多くの同胞の命が奪われました。また、テロリストに残忍に殺害された同胞もいることは痛恨の極みです。亡くなった方たちのご冥福を祈るとともに、生存者の無事と健康をお祈りします。国民の暮らしにはまだ困難と悩みがあることでしょう。党と政府は引き続き、国民の命と財産の安全確保、暮らしの改善や健康の保障に努めてまいります。
2016年は中国が「小康(ややゆとりのある)社会」の全面構築に向けた仕上げの段階の最初の年です。中国共産党中央第18期五中全会はこれからの5年、中国の向かうべき方向を明確にしました。掲げた将来ビジョンは人々を鼓舞し、奮い立たせてくれるものです。しかし、幸福は空から舞い下りてくるものではありません。我々は必勝の信念を樹立し、引き続き粘り強く努力し、イノベーション、協調、グリーン、オープン、共有という発展のコンセプトを貫徹していきます。構造改革や改革開放の推進、社会の公平と正義を促すことに力を注ぎ、清き水、青き山のような清廉な政治環境の実現に力を入れます。そして、小康社会作りの仕上げの段階で幸先のよいスタートを切らなければなりません。
ややゆとりのある社会の全面的な達成には、13億人が手を携えて前進しなければなりません。数千万人の農村部貧困人口の暮らしの改善は、 私がいつも気にかけていることです。我々は貧困扶助の取り組みにおいて、最も厳しい局面を迎えました。全党全国は心を一つにして、足りないところを補い合って、農村部の貧困人口が、期日どおり貧困から脱却できるよう努力しなければなりません。困難な暮らしをするすべての人々に、我々は関心を寄せ、彼らが身も心も暖かく感じてもらえるよ尽力しなければなりません。
我々の地球は1つです。地球は各国の人々の共通の故郷です。この1年、中国の指導者は多くの国際会議に出席し、多くの外交活動を展開し、 「一帯一路(1ベルト、1ロード)」の整備に向け、実質的な進展を遂げました。また、国連の2030年持続可能な発展目標の採択、気候変動への対応など地球問題の議論にも参加しました。かくも広い世界、かくも多くの問題を抱える中、国際社会は中国の声に耳を傾け、中国の解決策に期待しており、決して欠席することはできません。苦難と戦火に陥ってしまった人々を、我々は慈しみや同情の心をもたなければなりませんが、それ以上に責任と行動が求められます。中国はどんな時でも心を開いて世界に接し、力の及ぶ範囲内で困難な状況にある人々に手を差し伸べ、友人の輪を広げていきたいと思っています。
国際社会は、ぜひ共に努力し、より多くの平和、より多くの協力をすることによって、対抗を協力に、戦を平和に変え、各国の国民が共有する人類の運命共同体を共に構築していくことを心から願ってやみません。
ありがとうございました。
(編集IM)
「人民網日本語版」2016年1月1日
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