2016年の中国の財政政策において、「減税政策を実施する」という言葉が盛り込まれたことに注目が集まっている。これまでは「歳入の対GDP(国内総生産)比の安定推移を前提に構造的な減税を実施する」としていたが、16年に初めて、「減税政策を実施する」と明言。減税・諸費用の引き下げと歳出の拡大が財政政策の両翼となる。16年にはどのような減税・諸費用の引き下げ策を実行するのか。その大枠はほぼ出来上がっている。
減税の最重要課題は「営改増」(営業税から増値税への切り替え)だ。財政部財科所の劉尚希・所長はこのほど、営業税から増値税への切り替えを加速し、その推進段階で可能な限り適切な税率を適用させ、税率の簡素化によって全体的な税負担を軽減するとの意向を示した。16年には不動産・建築業、金融業、生活サービス業が「営改増」の対象に加わる見通し。減税規模が数千億元に及び、減税政策が目玉となる。
減税と同時に諸費用の引き下げを進める。データによれば、税収ベースで中国の歳入の対GDP比は約20%と、世界各国と比べ高い水準とは言えない。一方、政府歳入ベースでは対GDP比が経済協力開発機構(OECD)や先進国の平均水準を上回る。このため、中国で企業が負担する諸費用の引き下げが急務だ。16年には政府性基金を整理し、企業に対する費用徴収の監督・管理システムを整え、「乱収費」と呼ばれる費用の乱徴収を抑制する。
積極的な財政政策によって、財政赤字の対GDP比は上昇する可能性がある。スタンダードチャータード銀行グレーターチャイナ地区の鄭爽・チーフエコノミストは取材に対し、「財政赤字の対GDP比が3%、または3%以上の水準に達する可能性がある」と予想。国務院発展研究センター金融研究所の夏斌・名誉所長は、「財政赤字の対GDP比が3%に上昇することは有りうる」と語った。また、中国社会科学研究院戦略研究所の楊志勇・研究員は、「3%というラインを死守する必要はない。持続的な財政運営が見込めるなら、財政赤字の対GDP比は3%を超えても問題ない」と指摘した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月4日
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