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「一帯一路」と日本、対抗か参与か

 

「一帯一路」(シルクロード経済ベルト、21世紀海上シルクロード)という提案が実行に移され、日本各界でセンセーションを巻き起こし、日本の内政・外交に大きな衝撃をもたらした。日本国内の各界では、中国の一帯一路をどう捉えるかという問題に関する議論が続けられている。この尽きることなき論争の中で、日本政府は徐々に複雑かつさまざまな心理を形成しているが、ライバルとして中国の前に立ちはだかるという、方針が非常にはっきりした対策を講じている。この対策は歴史的・文化的な思いのほか、現実的な利益の計算によるものだ。市場のチャンスを失ったことへの焦り、国際関係に関する制約、地政学的変化と市場環境への恐れ、未来の政策の余地。筆者のこの判断は、主に次の事実に基づくものだ。

(一)これまでシルクロード文化に最も興味を示してきたのは日本だ。日本は古くからシルクロードに思い入れがあり、その意欲は中国に劣らず、他国を遥かに上回っている。近現代、特に明治維新以降、日本人のシルクロード文化に対する興味はかつてないほどに達し、現在に至る。中日共同制作のドキュメンタリー「シルクロード」(1980年)は、国内外で異なる反響を呼んだ。NHKは2005-07年にドキュメンタリー「新・シルクロード」を制作した。日本人のシルクロードに対する興味は、仏を尊びルーツを求める意識、島国の意識、環境保護の意識、相互依存の意識などに基づくものだ。

(二)冷戦後に最も早くシルクロードの商機を見出した国は日本だ。日本は1997年に「対シルクロード地域外交」を提唱した。この提唱は、米国が1999年に提唱した「新シルクロード計画」、ロシア、インド、イランが2000年に提唱した「南北回廊計画」よりも早かった。

(三)現在の中国にとって最大のライバルは日本だ。日本の安倍晋三首相は昨年5月21日、今後5年間でアジアのインフラ整備に約1100億ドルの資金を投じ、アジアインフラ開発銀行(AIIB)に対抗すると発表した。中国のシルクロード計画と雌雄を決する姿勢を示した。

(四)中国の一帯一路の建設に対して、最も強い破壊力を持つのも日本だ。中国が順調に一帯一路の建設を進める中、日本は安保関連法案を可決し、米国主導のアジア太平洋リバランス戦略に加わる意志を示している。日本国内の一部のメディアは、一帯一路の建設を「マーシャル・プラン」、「真珠の首飾り戦略」と同列視している。日本はさらに、中国に備え一部の国を抱き込んでいる。

(五)最も懐疑的な態度を持っているのは日本だ。これは主に日本の政界の、一帯一路の建設に関する議論・言論・主張によって示されている。全体的に見て、信用はしないが余地を残している。この懐疑的な態度は、経済政策、政治・外交、軍事の面で示されている。

(六)将来的にAIIBに加入し、一帯一路の建設に参与する可能性が最も高いのも日本だ。だがその時期は、一帯一路の建設の成果に左右される。個人的には、日本が加わる可能性は高いと判断している。これは中国の一帯一路の建設推進の決意だけではなく、日本が中国と競争を展開する際に、地政学的にも、労働力・資金力・物的資源の面でも優位性を持たないからだ。また日本人はシルクロードの文化と歴史に想いを寄せている。。

日本の一帯一路に対する態度は、単純な反発・対抗や不信感ではない。日本は利益最大化の準備を整えている。まず一帯一路のインフラ整備で中国と「生死を賭けた戦い」を展開し、企業の発展に向け市場を切り拓いている。次に競争者としての立場を利用し相手を欺き、一帯一路の建設を刺激している。当然ながらこれは挑発と呼んでもいい。ただ第三者から見ると、これは一帯一路のエリアに、有益な「競争枠組み」を導入・形成している。それから日本は中国を、販路拡大の先遣隊、案内人としている。分かりやすく言えば先に中国に毒味させようというわけだ。日本はその過程において、中国と周辺諸国・地域のFTAを利用するか、もしくは中日韓FTAに直接参与することで、裏の目的を達成する。中国との競争に結果が出るか、中国が販路を切り拓いてから、戦略を調整するのだ。これは日本が3年ぶりに中日韓首脳会談を再開させた重要な原因だ。

日本の一帯一路への対策は中国に対して、建設中に多くの点に注意すべきことを教えている。まず中国は一帯一路の提唱者であり、言行を一致させなければならない。中国は一帯一路の建設を推進するなか、「インフラ整備を強化し、相互接続を促進する」という自ら高く掲げた旗とスローガンを忘れてはならない。これは周辺諸国が望むことであるが、この市場が必ずしも中国のものになるとは限らない。彼らが注目しているのは特定の国の資本ではなく、結果そのものだ。そのため我々が企業間の商的競争を国家の意志というレベルまで高めようとするならば、その本心が疑われる。相互接続を促進するのならば、そのため努力するのは当然のことだからだ。次に、日本の手法と上述した認識に基づき、中国は日本企業の投資拡大を奨励し、圧力を分担させることができる。道ができれば、誰でも歩くことができる。我々は日本が先遣隊や案内人になることに期待しないが、日本が参与し中国の資金面の負担を軽減し、建設を加速するならば願ってもないことだ。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月7日

 

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