新開発銀行(BRICS銀行)やアジアインフラ開発銀行などが正式に運用を開始し、2016年は中国の「一帯一路」戦略が大きく進む見通しだ。これについて中国で長期にわたり事業を手がける外資系銀行は、「事業拡大」の大きなチャンスになるのは間違いないとの見方を示している。
「外資系銀行にとって、中国国内市場の利点はクロスボーダーの資金、投資、管理などのサービスを企業に提供できること。中国が「一帯一路」戦略を着実に進めれば、中国ですでに一定の成長基盤を持つ外資系銀行の新たな足がかりとなる」。上海財経大学現代金融研究センターの奚君羊副主任は、『国際金融報』の取材に対してこのように話した。
UOB(中国)有限公司は先ごろ、江蘇省で成長するクロスボーダーの貿易・投資を支援するために、17カ所目となる支店を蘇州市に開設した。新設の蘇州支店は中国-シンガポール蘇州工業パークにあり、蘇州市の金融イノベーション試行拠点として、中国と東南アジアの貿易に関するクロスボーダー人民元融資のソリューションを顧客に提供する。
OCBC銀行も、江蘇省で最初の支店を蘇州工業パークに開設。OCBC銀行グループのCEOとOCBC銀行(中国)の董事長を兼務する銭乃驥氏は、今回の措置について、蘇州市とシンガポールの金融サービスを結ぶことに期待を示すと同時に、長江デルタ地域の業務拡大にもつながると説明した。
OCBC銀行(中国)有限公司企業銀行部の陳在傑総経理は、『国際金融報』の記者に対し「一帯一路」の成長戦略が実行されれば、中国経済の新たな枠組みが形成され、企業の「走出去(海外進出)」と「走進来(外資参入)」が拡大すると予想。「一帯一路」は、非常に大きな成長余地をもたらすとの見方を示した。
「一帯一路」戦略を通じ、将来的に中国と東南アジア各国の間で提携が進み、非常に大きな成長余地が生まれる見通しだ。東南アジアから進出して中国で長期にわたり事業を手がける外資系銀行には好材料となるため、こうした銀行は東南アジア市場での事業開拓にさらに積極的となっている。
陳在傑総経理は、「東南アジアは『一帯一路』戦略で非常に重要なポジションを担う。OCBC銀行はネットワーク上のアドバンテージを活かし、『一帯一路』の相互接続で新たな金融ニーズを見出し、対象地域の顧客に全方向金融サービスを提供する」と述べた。
2015年にミャンマーでの支店開設を許可されたシンガポールのOCBC銀行は、ミャンマーの銀行10行と覚書を締結。金融管理、金融支援、業務育成、銀行間取引、決済などの業務で提携する方針だ。
また、UOBもミャンマーのヤンゴンで支店を開設し、東南アジアでネットワークの拡大を目指す。これにより、UOBの東南アジアでの事業エリアは8カ国に増える。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月11日
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