人民元の対ドルレートの値下がりが市場関係者の関心を集めている。中国人民銀行研究局の馬駿チーフエコノミストはこのほど、人民元のレート形成メカニズムに関連して次のように答えた。
問:レート形成メカニズムに関して市場ではさまざまな見方が出ている。対ドルレートに対して基本的には安定しているとか、バスケット通貨を参考しているとか、完全変動相場制に移行したとかである。どう見たらいいか?
答:ドルペッグの時代はすでに終わった。しかし完全変動相場制になったわけではない。バスケット通貨を参考にし、基本的にこれに連動したレート形成を図るのが、今後のレートメカニズムの考え方である。
人民元をバスケット通貨に連動させることによって、市場ではバスケット通貨を安定させる人民元の対ドルレートが期待値となるほか、マーケットメーカーは基準値(中間値)の報告の際にバスケットを重視し、中央銀行(人民銀行)は為替調整においてバスケットの安定を図ることになる。
これらの結果、人民元はバスケット通貨に対してより安定する。その一方で人民元の対ドルレートは上下に大きく変動することになる。言い方を変えれば、バスケット通貨を参考にするメカニズムにおいては、対ドルレートがどちらか一方に動くことない、ということだ。
問:バスケット通貨を参考にするレート形成メカニズムは現在どの段階にあるか?
答:成熟した透明なメカニズムを形成するには、まだ模索が必要だ。メカニズム自体のコンセンサスを得られているが、基準値の決定にはバスケットの安定という要素が加わる。中央銀行は人民元の対バスケットの安定を主要目標とすると同時に、対ドルレート(1日)に対する為替調整を適宜実施し、将来はマクロ経済の動向もレートに反映されることも考えている。こんごは「市場との対話」の強化し、介入原則の透明性と人民元指数のAvailability(利用価値)を高め、バスケット通貨を参考にするレートメカニズムの市場での有用性を図っていきたい。
最近市場関係者の間で、基準値の変動で中央銀行の意図を判断しようとする向きがあるが、これは間違いだ。基準値はマーケットメーカーが前日の終値とバスケット通貨レートの変化を参考して提示したレートに基づいて形成されている。注目すべきは基準値と終値の差及びバスケットレートの変化の関係である。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月12日
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