米フォーブス誌の電子版が伝えたところでは、広告調査会社カンタール・メディアのデータによると、新車の購入に3万2200ドル(約378万円)以上を支払うと回答した中国人消費者は41%に達したという。なお、同じ額を新車に費やそうと考えているドイツの消費者は14%、英国やオーストラリアは10%、スペインは5%、フランスは4%にとどまっている。ある意味では、こうしたデータも市場の心理と底力を反映していると言える。(人民日報「鐘声」国際論評)
世界経済が深い調整とモデルチェンジ期に差し掛かる中、国内総生産(GDP)や鉄道貨物輸送量、鉄鋼生産量、対外輸出、固定投資などのデータばかりを見ていては、経済発展の全貌をつかむことはできない。消費者のトレンドが、経済発展構造に影響を及ぼす重要な要素になりつつあることは軽視できない事実だ。
中国を例とすると、昨年第1~第3四半期、第3次産業が中国のGDPに占める割合はすでに51.4%に達し、最終消費支出の経済成長への寄与度は58.4%と、GDP成長の最大の原動力となった。オンライン小売売上高は前年同期比36.2%増、うち、実体のない商品の小売売上高は43.6%増となった。昨年1~11月、ハイテク業界の増加値(付加価値額)は前年同期比10.4%増となり、伸び幅は伝統的な工業を4.1ポイント上回った。「インターネット+」戦略によって、伝統的なネットショッピングはネットサービス業へと急速に転換しており、電子商取引(EC)、オンライン教育、オンライン医療などの新しい業態が急速に発展し、スマート交通、スマートホーム、スマートシティなど新たなモデルが絶えず出現している。つまり、20年以上前の「チップ経済」をシンボルとする「新経済」の概念は今や、内包から外延に至るまで、はるかに内容が豊富になった。これが世界経済にもたらす変化はGDPなどのデータに完全に反映されるものでは決してない。
一国の経済を見るには、その国の特色を分析・判断の根拠としなければならない。例えば、米国人はかつて「シャンパン指数」を重視していた。これはすなわち、シャンパンの消費量から前年の米国の平均的な家計所得を推算するというもので、正確度は90%に達した。ただ、この指数を中国に当てはめても、まったく参考にならないことは想像に難くない。つまり、時代や背景に大きな変化があった後、経済構造の調整、産業のモデルチェンジ・アップグレードは、経済指標の代表性に相応の変化を及ぼすということだ。
経済発展の特徴を正確につかむことで初めて、経済発展の大きな流れを正しく分析することができる。米エール大学のスティーブン・ローチ教授が言うように、中国の第13次五カ年計画は1つのキーポイントがある。それはつまり、経済の構造が、GDP成長目標よりも重要という点だ。経済の中高速成長を維持すると同時に、中国の経済構造を引き続き改善し、産業のミドル・ ハイエンドへの進化を推進する。
英「フィナンシャルタイムズ」は、「古い指標よりも、中国のオンライン売上高の伸び幅、映画の興行成績の伸び幅、鉄道の旅客輸送数と貨物輸送量の増加幅といった新指標のほうが注目に値する」と指摘している。ブルームバーグ社は、「内需志向のサービス業が引き続き2ケタ成長を遂げられたことは、中国経済にとって良いニュースだ」と報じている。
中国は世界第二の経済体であり、世界経済を分析する上で無視できない。中国経済の新常態をどう見るかは、世界的な課題でもある。新常態を認識し、新常態に適応し、新常態をリードすることは、中国経済発展の現在および今後における重要な論理であり、世界経済の長い周期と中国発展の段階的な特徴および相互作用を総合的に分析したうえでの重大な判断だ。中国は現在、革新駆動型発展戦略を実施し、革新・協調・グリーン・開放・共有という発展の軌道を歩み、供給側の構造改革を推進し、経済発展の新常態に適応し、これをリードすることを強調している。このような、世界金融危機後の総合的な国力競争の新たな情勢に適応するための選択は、低水準の需給バランスから高水準の需給バランスへの躍進を推進し、中国の発展に原動力を注入するばかりでなく、世界経済にも新たなチャンスを与えるだろう。
経済指標を通じて中国経済の活力を正確に映し出すにはどうすれば良いか?この問題に答えるのは簡単ではなく、革新も必要だ。新たな情勢に合わせて新たな角度を見つけ出し、新たなビジョンを見出さなければならない。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年1月13日
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