注目を集めるアジアインフラ投資銀行(AIIB)が今月16日に開業した。呼びかけのスタートから開業まで2年あまりの時間を経たAIIBは、その間に世界各国の幅広い反応と賛同を得て、昨年末の発足時には、57カ国が政府間覚書に調印した。中国が呼びかけて設立された初の多国間金融機関であるAIIBは、アジア域内・域外の諸国に新しい発展チャンスをもたらすことになる。融資の第1段は今年中頃にも認可される見込みだ。
▽インフラ建設の遅れを改善 窮乏・貧困対策の推進に力
AIIBには中国を含むアジアの19カ国が参加し、創設メンバー57カ国の3分の1を占める。アジアは「一帯一路」(1ベルト、1ロード)の呼びかけを推進する上での優先地帯であり、重点地域だが、インフラの遅れが経済発展を制約してきた。アジア開発銀行(ADB)がまとめたデータによると、2010年から20年にかけて、アジア諸国が毎年必要とするインフラ建設資金は8千億ドル(約94兆2640億円)に上る。世界銀行やADBなどの国際金融機関だけではアジアの発展途上国の膨大なインフラ投資ニーズには対応できないという。
インドネシアは東南アジアで最大規模のエコノミーだが、インフラの深刻な遅れが国際競争力を弱める最大の問題点となっている。道路、橋、港湾、水道、電気などの施設の不足が、海外資本がインドネシアに進出する際の「障害物」となり、整った物流ネットワークの欠如により、商品の輸送コストが非常に高くつき、同国の製品の市場開拓を妨げている。
インドネシアASEAN(東南アジア諸国連合)南洋基金会の李卓輝代表は、「世銀、ADB、国際通貨基金(IMF)といった国際金融機関だけではインドネシアをはじめとするこの地域の発展途上国の資金調達ニーズに対応できない。インドネシアはAIIBのような協力パートナーを是非とも必要としており、AIIBがこの地域の国々のインフラ建設ブームを巻き起こし、この地域の経済の潜在力を発揮させる強力な推進役になることを確信する」と述べた。
AIIBはアジア地域の貧困扶助開発にとっても重要な意義がある。世銀のジム・ヨン・キム(金墉)総裁は以前、「貧困や不平等の問題に関心を寄せる人であれば誰でも、発展途上国の経済発展と雇用の増加を支援しようとする銀行を歓迎するはずだ。AIIBは極度の貧困の削減で重要な役割を発揮するだろう」と述べている。
韓国国際貿易協会(KITA)の李鳳傑チーフ研究委員は、「AIIBはアジア地域の経済成長、インフラ開発・投資をサポートし、窮乏・貧困対策で直接的、間接的に役割を発揮し、関連諸国の経済発展にプラスになる」との見方を示した。
またパキスタンのイスラム戦略研究所(SSII)のマスード・ハーン所長(元駐中国パキスタン大使)は、「AIIBは地域各国の交流と協力の向上にプラスであり、世界経済の発展にとってプラスだ。AIIBは『一帯一路』建設とともに、各国の経済発展水準の向上に深い影響を与えることになる。AIIBの発足と正式開業はアジア各国と広大な発展途上国の発展の潜在力を極めて大きく発揮させ、関連国はそこから利益を受けるだろう」と述べた。
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