3月1日、「中華人民共和国反家庭内暴力法(反DV法)」が施行された。中国初の反DV法となった同法は、家庭内暴力の性質および法的責任を明確に定めており、これまで名裁判官でも裁くのが難しかった「家庭内のもめごと」を国家法によって裁くことが可能となった。新法の施行により、家庭内暴力に苦しむ被害者に対する有効な保護が提供されることとなった。同時に、法律という武器を拠りどころに、どのようにして被害者の権利を保護するか、関連当局がどのような有効な手段を用いて法律の条項を執行するかをめぐり、世間の注目が集まっている。中国新聞網が報じた。
「DV」と認められる行為とは?
2015年12月27日、「中華人民共和国反家庭内暴力法(反DV法)」が全国人民代表大会常務委員会で審議・採択された。これは、中国で初めての反DV法となった。
1995年に発表された「中国女性発展綱要」において、「家庭内暴力の徹底阻止」が初めて打ち出されて以来、法律として正式に施行されるまで、中国の反DV法は、20年あまりに及ぶ準備期間を要したことになる。
1日に正式に施行された反DV法では、家庭内暴力の範囲について、「家庭の構成員の間で、殴る蹴る・ひもで縛る・怪我をさせる、身体の自由を制限する、日常的に罵る、脅すなどの方法を用いた肉体的・精神的な暴力行為が行われることは全て、家庭内暴力に属する」ことが、明確に定義づけられた。
反DV法では、家庭の構成員のほか、同居者間での暴力行為についてもDVと認められ、同法が適用されることが強調されていることも注目に値する。つまり、「同居者間暴力」も家庭内暴力の枠組みに組み入れられたのだ。
DVの被害に遭った時、誰に助けを求めるのか?
新法の施行に伴い、世間の人々が最も関心を寄せた問題は、「被害者は、法律という武器を片手に、いかにして自分自身を守れば良いのか?」「家庭内暴力の被害に遭った時、誰に助けを求めたら良いのか」ということだった。
これらの問題について、反DV法第13条では、次の通り明確な規定が示された。
DVの被害者・法定代理人・親族は、加害者もしくは被害者の所属機関・住民委員会・村民委員会・婦女連合会などの組織に対し、訴え・相談・保護申請を行うことができる。DVに関する訴え・相談・保護申請を受理した関連当局は、保護支援・処理を行わなければならない。
このほか、反DV法は「DVの被害者・法定代理人・親族は、公安機関に事件の申し立てを行うまたは、法に基づき、人民法院(裁判所)に訴訟を起こすことができる。また、DV行為が行われていることを発見した組織または個人は、直ちにその行為を阻止する権利を有する」と定めている。
被害者はどのような支援や保護を受けることができるのか?
反DV法の関連条項によると、DVの程度がそれほど深刻ではない場合は、法に依る治安管理処罰の対象とはならず、公安機関が加害者に対して更生教育を行う、あるいは警告書を出す程度に留められる。
さらに、反DV法では、「県レベルまたは区が設立された市級人民政府は、自身でまたは救助管理機関に依託し、とりあえず生活できる場所をDV被害者に提供するため、臨時保護施設を設立することができる」と規定されている。
反DV法の大きな特色として、人身安全保護令制度が初めて確立されたことが挙げられる。当事者がDVの被害に実際に遭っている、もしくは被害の危機に直面している場合は、人身安全保護申請を人民法院に対して行うことが可能で、人民法院はこれを受理しなければならない。
人身安全保護令には、「被申請者(加害者)に対し、DV行為を行うことを禁じる」「被申請者に対し、申請者(被害者)またはその近親者に迷惑行為・ストーカー行為・接触などを行うことを禁じる」「被申請者に対し、申請者の居住地から転出することを厳命する」「申請者の身体上の安全を保護するためのその他措置を講じる」などが含まれる。(編集KM)
「人民網日本語版」2016年3月1日
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