今年の中国の政府活動報告は、経済の構造転換の過程における人材の重要性を特に強調しており、「新旧の原動力の転換を実現し、発展の方向転換を推進するには、より多くの人的・人材資源と科学技術のイノベーションを必要とする」としている。そのために、中国政府は今後、より積極的、より開放的、より効果的な人材導入政策を実施し、海外のハイレベル人材約1万人が帰国(来中)して起業などできるよう推進することを、今後5年でするべき100の重要な取り組みの一つに列挙している。この壮大な計画について、欧米同学会の副会長を務める、中国国際人材専門委員会の王輝耀会長は、「開放的な思想で、世界中で人材の開発・利用を行うことは、中国経済が試練を乗り越え、再び輝きを取り戻すうえで非常に重要」と、胸を高ぶらせる。人民日報海外版が報じた。
世界中で人材の開発・利用を行うためには、関連業務や管理・サービスを整えなければならず、中でも中国版グリーンカード(永住権)制度を整備し、外国人の永住管理とサービスをさらに強化・改善することは非常に重要だ。
「中国版グリーンカード」を切望する外国人
グリーンカード制度は、人材競争を展開し、人材を呼び込み、引き留めるうえで重要な手段。海外のハイレベル人材を呼び込むことは、中国の発展のうえで、決して欠かせない要素だ。近年、中国はグリーンカードを含む一連の関連制度を打ち出してきた。
では、海外の人々は、中国版グリーンカードをどのように見ているのだろうか?インドのニューデリーで中国との貿易に携わっている康定さん(男性)は取材に対して、「近年、中国で起業、ビジネスをするインド人が増加している。それには、アウトソーシングサービスや電子商取引に従事するハイレベル人材も含まれる。もし、そのようなインド人が中国版グリーンカードを取得できるなら、大喜びするだろう」との見方を語った。
中国の両会(全国人民代表大会・全国政治協商会議)に、華僑・華人を代表して列席する、オーストラリア・クイーンズランド州の華人聯合会の馬連沢・事務局長は、中国政府がハイレベル人材誘致にさらに力を入れ、グリーンカード制度を整備している努力を称賛している。
中国初の国家自主イノベーションモデル区で中国のシリコンバレーとも呼ばれる北京中関村は現在、中国の特色を備えた人材特区の構築を進めている。最近、公安部(省)や北京市公安局は、中関村に同地で働いたり起業したりしている外国人にサービスを提供する外国人永住サービスホールを設置し、永住や在留許可、査証(ビザ)などの申請を審査、発給するほか、問い合わせに応えている。
「グリーンカードで受け入れられた気持ちに」
山東省東営市公安局の出入境管理支隊の大きな中国の地図の横で、胡明・支隊長からグリーンカードを、興奮気味に受け取った中国名・喬徳瑞というインド人は、同市でグリーンカードを取得した4人目の外国人となったと同時に、同市で初めてグリーンカードを取得した企業の上級管理職でもある。
喬さんは、「グリーンカードを取得できて、受け入れてもらった気持ちになった。東営は私の第二の故郷。第13次五カ年計画(2016‐20年)について、メディアを通じていろんな情報が入っている。私が従事している太陽光発電産業は、中国の新エネルギー産業の発展計画に合致するもので、関連の技術分野は世界でもトップクラス。今後、技術の研究開発を強化して、一流の商品を作り、第13次五カ年計画の達成のために貢献したい」と語った。
グリーンカードのハードルを適度の高さに
数カ月前、中国プロバスケットボールリーグ (CBA)に所属する北京ダックスの助っ人ステフォン・マーブリー選手は、手続きの書類をたくさん持って、北京市公安局出入境管理局を訪れ、グリーンカードを申請。すぐに願いがかなった。「グリーンカードは単なる1枚の紙ではない。便利な生活と心温まるサービスを意味する」と興奮気味に語った。マーブリー選手がグリーンカードを取得し、北京に「居場所がある」と感じるようになったのに疑問の余地はない。
規定では、グリーンカードの申請には、中国人と結婚、中国の永住権所持者の子供、中国に直系の親族がいる、中国に特殊な貢献をしている、教授や研究員として働いている、中国に直接投資しているなどの条件を満たしていなければならない。マーブリー選手は中国でもスター選手で、「中国に重大で突出した貢献をしている。国家が特に必要としている」という条件を満たしている。マーブリー選手の活躍は、北京ダックスに勝利をもたらすだけでなく、価値あるグリーンカードの取得にもつながった。
しかし、海外では、「中国版グリーンカードは世界で最も取得が困難」と、ハードルの高さに不満を示す声も上がっており、その制度には改善が必要であることを示している。以下のデータもそれを実証している。中国に滞在している外国人84万8500人のうち、2013年の時点でグリーンカードを取得したのはわずか7356人。そしてここ数年、グリーンカードを取得した外国人の数は毎年500人程度にとどまっている。
中国版グリーンカードのハードルの高さについて、長期にわたり移民の法律・政策の研究に力を注いでいる北京理工大学の劉国福・教授は、「グリーンカードの発給は、もちろん厳格で慎重にしなければならない。しかし、その制度を設けた理由も忘れてはならない。ハードルが高すぎ、『見込みがない』としり込みさせているなら、調整・改革が必要」と指摘している。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年3月16日
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