一部の公務員はうつ病あるいは他のメンタル面での問題を抱えているというと、多くの人はすぐさま「そんなことはあり得ない」と反応し、「ただの口実にすぎない」と思うかもしれない。だが、無料のメンタルコンサルティングサービス「イルカホットライン」の施磊氏は、同ホットラインに寄せられる多くのケースから、「確かに公務員に圧し掛かるストレスは大きく、特に若い公務員が感じる心理的不安感は相当高い」と指摘した。中国青年網が報じた。
施磊氏は、次の通り話した。
「相談の電話をかけてくる人々のうち、体制的に守られた人々の割合は非常に高い。彼ら公務員が抱える心理的な不安はかなり大きい。彼らの多くは、羞恥心がとりわけ強く、メンタル面での問題が起こっても自分の胸の内だけにおさめ、他人に正直に打ち明けることはしない」
「特に、男性公務員の一部は、体裁が良い仕事をしているにもかかわらず、心の中では大きな焦燥感や緊張感を抱えている。彼らは、一般社会では「公務員」の役割を、家庭では「夫」の役割を演じており、メンタル面での問題が起こっても、ひたすら波風を立てないようにしてしまい、自分の弱点を隠そうとする」
施氏は、コンサルティングの事例を緻密に分析した結果、就職したばかりの若い公務員のほか、30歳前後と比較的若手であるが、ある程度の役職についている公務員も、「不安障害」を発症しやすい集団であることを突き止めた。彼らは働き盛りで、大部分の人は結婚して家庭を築いており、仕事に十分慣れ、勤務先での地位も順調に昇進の道を歩んでいる。だが、彼らの多くは、気がふさいでいるときが多く、キャリア成長の停滞期に入って頭打ちとなり、これ以上昇進できないのかと悩み始めている。仕事に対しても意欲が沸かず、自分の可能性が大きな壁に阻まれていると感じ、人生で頑張る意義も見いだせず、心理的不安に陥りやすい。
施氏は、公務員に見られる問題と心理不安との間に深い関係があるとの見解を示し、「不安感は、体内の毒素のようなものだ。避けようと思えば思うほど深みにはまってしまう。若い公務員は、解毒することを学ばなければならない」と指摘した。
若い学者である張明氏(仮名)は、北京の大学で教職についている。張氏は、1年間をかけて、北京の若い末端公務員10人の心理状態を詳しく調べ、研究した。また、公務員300人に対するアンケート調査を実施した。
張氏は、この調査から、自分の仕事に対する末端公務員の満足度はあまねく低く、彼らの多くが決まり決まった仕事に飽き飽きしていることを突き止めた。この結果の正確性について検証するため、課題チームのメンバーは、何度も回答者にインタビューした。
張氏は、調査に関して次の通りコメントした。
「報酬の低さが、末端公務員が仕事に飽き飽きする原因となっている。アンケート調査の結果、普段は仕事がキツいのに、実際の昇進チャンスは少ない若い公務員の不安感が最も大きく、これによって仕事に対する倦怠感が生まれやすいことが分かった。昇進してとんとん拍子に出世する同僚を羨ましく思う反面、勤務先の中であくせく仕事をする必要がない先輩たちのことも羨ましく感じている。彼らは心理的に『板挟み』の不安な状態に陥っている」
「末端公務員が長期的に受ける仕事上のストレスは、仕事に対する倦怠感に転化する恐れがある。また、長期的な倦怠感は、直接、精神的うつ病の引き金となりえる」。(編集KM)
「人民網日本語版」2016年3月24日
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