第4回核安全保障サミットが3月31日から4月1日まで米国・ワシントンD.C.で開催される。今回のサミットは首脳レベルでの最後の核安全保障サミットとなり、今後は国際原子力機関が開催する核安全保障の閣僚レベルでの会議が開かれることになる。今年12月にはオーストリア・ウィーンの国際原子力機関本部でサミット後初の核安全保障に関する閣僚レベルでの会議が開かれる予定だ。人民日報が伝えた。
中国社会科学院・米国研究所戦略研究室の樊吉社室長は取材に対し、「国際原子力機関が核を安全な未来へ主導していくことは中国が打ち出した重要な原則の一つである。国際原子力機関は国連とも関係があり、世界各国政府の原子力分野と科学技術協力を行う機関だ。各国と国際原子力機関の協力、あるいは国家間がこの機関を通して行う多角的な協力は、核安全保障協力の主流モデルとなるだろう。この機関はもともとは核の安全利用を保障する機能に限りがあったが、数回の核安全保障サミットにおける協議と調整を通じて、その役割は目に見えて強化されており、協力プラットフォームとしての責任を構築できるほどになってきている」と語った。
また樊室長は「国連は現在世界で政府間における最大の国際組織であり、核安全保障問題というような地球規模の問題に対応するうえで欠かせないプラットフォームである。また国際刑事警察機構も核燃料の盗難、密輸、不法取引等を重点的に取り締まっており、各国間の情報共有をさらに一歩推し進めている」と語った。
国連の一部の決議の他にも、各国は「核によるテロリズムの行為の防止に関する国際条約」や「核物質の防護に関する条約」といった一連の国際条約に調印し、少しずつ執行段階を進めている。
清華大学の李彬教授は取材に対し、「ポスト核サミットの時代は核の安全保障プロセスを継続して進めていく上で、いくつかの問題に直面するだろう。現在、国際的なレベルでの制度構築には主に関連機関と国際法が含まれている。各国が国際原子力機関に協力するか否か、必要な資金と技術面でのサポートが提供されるかどうか、国連安保理会議の決議を執行できるか否か、関連国際法の公約を迅速に執行できるか否か、など各種問題については、いずれも国際社会のより多くの努力が必要となる」と語った。
また国際社会があまねく注目している問題は、核大国である中国が、今後の国際社会における核安全保障に対してさらに大きな役割を発揮していくか否かという点だ。樊室長は「中国は益々積極的に核の安全保障にかかわっていくことが予想され、主導者の一人となる可能性も考えられる。国内において、中国は核安全保障分野で優れた安全記録を保持しており、それ自体が世界の核安全保障に対する重要な貢献と言える。また国際社会にとっては中国と米国は核安全保障モデルセンターを共同で構築し、将来的にアジア太平洋地域、さらには全世界で核安全保障に関する国際的な交流や協力、教育トレーニングや新興技術の研究開発や展示を展開させることに力を注ぎ続けるだろう。中国はまたその他の国々に技術上のサポートを提供することも可能だ。例えば中国は現在ガーナで高濃縮ウランの使用を減少させるための改造研究支援を行っている。このほかにも中国は周辺地域の核物質の不法取引を取り締まっているほか、関連諸国との協力についても現在展開中だ」と語った。(編集TG)
「人民網日本語版」2016年3月30日
|