中国教育部(省)は7日、「中国高等教育(大学教育)品質報告」を発表した。同報告は、中国ひいては世界で初となる、国家による「大学教育の質」に関する報告となった。現時点で、大学教育の規模(大学生数)は、中国が世界トップに立っており、地域別配置も合理化している。だが、その一方で、卒業生の能力面での欠如や専攻科目設置の立ち遅れなどの問題も、いまだに解決されていないのが現状となっている。中国放送網が伝えた。
教育部高等教育教学評価センターの呉岩センター長は、「2015年末の時点で、中国の大学生総数は3700万人に達した。この数値は、新中国成立当時と比べると310倍に上り、中国の大学生数は世界トップとなった」と紹介した。
さらに、呉センター長は、「現在、世界中の大学在学生の5人に1人は中国の大学で学んでいる。中国の大学進学率は、2015年時点で40%に達し、2019年には50%を上回り、大学教育の普及が一層進むと予想される」と続けた。
「中国高等教育品質報告」の発表と同時に、3つのテーマ別報告も発表され、工学教育および大学学部・学院の新設にフォーカスが当てられた。いわゆる「大学学部・学院の新設」とは、教育部が2000年以降に設立を認可した大学学部・学院を指す。これらの大学・学院の一部は、中国国内大学の地域分布の合理化を目的として、主に省庁所在地以外の都市に建設される。中国高等教育学会の瞿振元・会長は、「中国では、過去16年間に、計678校の大学学部・学院(独立した学院も含む)が新設された。これは、学部・学院総数の過半数を占める」と話した。
瞿会長は、「全国には339の地級市(省と県の中間にある行政単位)及びそれ以上の都市がある。このうち196都市に学部・学院が設立され、カバー率は57.8%に達し、従来の普通大学・学院が北京や上海などの特大都市・大都市に集中しているというアンバランスな状況が改変された」と続けた。
報告では、中国の大学教育に現存している問題についても、体系的な分析が行われた。特に、中国製造業の発展と密接にかかわる工学教育分野について、呉センター長は、「複雑な問題を解決する能力」と「職業モラル」という2つの力が学生に不足していることは明らかだとずばり指摘している。中国教育学会の鐘乗林・会長は、「学生の『欠点』を全面的に学校のせいにするべきではない」と強調した。
鐘会長は、「国家は早急に産学協力をめぐる具体案を制定する必要がある。工学部学生を対象とした無償の企業インターンシップ制度の実施など、大学での人材育成に企業が参加するよう促すべきだ。学校だけに責任を押し付けるのは公平とはいえない」と提案した。(編集KM)
「人民網日本語版」2016年4月8日
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