国家統計局が先日発表した統計によると、今年第一四半期(1-3月期)の全国の一人当たり平均可処分所得は価格変動の影響を除くと実質6.5%増となり、同じ時期の国内総生産(GDP)の成長率同期比6.7%増より低い結果となった。この現象が見られるのは2年ぶりだ。人民日報が伝えた。
初めて見られた「逆転」
2013年より、国家統計局は都市・農村一体化住居収支・生活状況調査を開始し、2014年より発表する全国一人当たり平均可処分所得の成長率は、価格変動の影響を除き、可処分所得はここ2年来終始GDPより高い成長率を維持してきた。
ところが、今年第一四半期、この局面が維持されることはなかった。統計によると、第一四半期の一人当たり平均可処分所得は6619元(1元は約16.7円)で、同期比名目8.7%増、価格変動の影響を除いた実質成長では6.5%増となり、同じ時期のGDP前年同期比6.7%増より低い数字となった。
この点について財政部(省)財政科学研究所の白景明副所長は、「国民所得の成長率がGDP成長率よりも低いものだったとしても、心配することはない。6.5%という成長速度自体は世界的に見ても最高水準であり、40年代以降の各先進エコノミーの国民所得をみても6%以上に到達する国は非常に少ない」と指摘した。
白副所長はさらに、規模の上から、長年の高度成長を経て、中国の国民所得という「ケーキ」はますます大きくなっており、収入の基数は決して小さくなく、6.5%という成長率は楽観できると述べた。また、「2020年に都市・農村住民の一人当たり平均可処分所得を2010年比で倍増させる」という目標についても、この成長速度から見て実現は十分可能であるという。
注目すべきは、第一四半期において都市と農村の所得格差が縮まっているという点である。統計局の統計によると、第一四半期、都市と農村の所得格差は前年同期比0.02ポイント小さい2.59倍となった。中央党校大学院の趙振華院長も先日発表した研究論文において、改革開放以降、中国の都市・農村の所得格差は2009年の3.33倍を最高値に縮小を続けており、中国の都市・農村の所得格差は「逆U字」型曲線の右側へと発展、今後も縮小を続けるだろうと指摘している。
「逆転」の主な原因は時期的要因か
国民所得の成長速度の小幅な変動は正常な現象といえる。理論的に見て、GDPと国民所得の成長は完全に一致するとは限らず、経済成長規模が完全に国民所得に反映されるわけではなく、一部は国民経済の他の部分に反映されるため、国民所得はしばし変動するが、その変動も一時的なものであると専門家は指摘する。
時期的要素も主な現実的要因として挙げられる。中国人民大学財政金融学院の趙錫軍副院長は、第一四半期は元旦、春節という二つの祭日連休があるため、企業の経営・生産は他のシーズンよりやや緩く、収益増も困難となると指摘する。また、この間人々の消費の多くがこれより前の貯蓄物資の消費、つまり在庫消費が多く、在庫部分の労働収入はこれより前に決済済みとなっている。総じて、収入の時期的格差が大きくなるため、収入と経済成長指標の対比の際は、年度統計がより客観的となると指摘する。
趙副院長はまた、「目下、中国の経済は構造調整期にあり、産業や国民の就業を含む多くの局面で調整が行われている。この際一部の分野の収益や財産収入は影響を受けて減少する。この点にも注目すべき」と指摘する。前出の白副所長はこの他、国民経済における投資、工業付加価値額といった成長速度がやや緩やかになり、これも一定程度国民所得の増加に影響すると指摘した。
実際には、国民所得を含む第一四半期における民生指標は評価するに値する。雇用の面では、人的資源・社会保障部(省)の統計によると、第一四半期の都市・農村地域の新規雇用者数は318万人で、前年目標の31.8%を達成した。収入の面では、国民所得の実質成長率は6.5%で、依然高い成長を維持し、都市と農村の所得格差も絶えず縮小している。物価の面では、CPIはゆっくりと上昇しており、統計によると、第一四半期のCPIは同期比2.1%上昇した。
白副所長は、「第一四半期の民生分野の関連指標は良好な『成績』を残しており、民生は良好な発展の勢いを保っている。中国の旺盛な内需と構造調整の新たな原動力と政策ボーナスを受け、この勢いは今後引き続き保たれる」と述べた。(編集MI)
「人民網日本語版」2016年4月19日
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