中国外交部辺海司の欧陽玉靖司長は5月6日、メディアブリーフィングを開き、南中国海問題について国内外の取材に応じ、中国側の立場に関する主張を紹介し、記者の質問に答えた。
NHK:中国は『海洋法に関する国際連合条約』を重視している。『条約』は12カイリ内を領海と規定しているが、中国が主張する「九段線」は『条約』に合致しているか。
欧陽玉靖司長:まず、中国の南中国海の主権と関連の権益に関する主張は歴史において一歩一歩形成されたものである。このような主権と関連の権益は過去の中国政府も堅持してきた。1948年、中国政府は南中国海の断続線を公表した。その主な目的は、中国の南中国海における主権と関連の権益を強調することである。その後の十数年において、国際社会は中国の断続線に対して何の異議も唱えていない。しかも、多くの国が出版した公式、民間の地図も断続線と明記している。断続線と『条約』の関係については次の数点を述べる。
1. 断続線は1948年に公表、『条約』は1982年に締結されたもので、両者の時代背景は異なるため、適用される法体制も異なる。
2. 『条約』には多くの歴史的所有権、歴史的港湾の規定がある。この面から言って、『条約』はその前に形成された歴史的権利を反対してはいない。
3. 先ほど述べたように、中国政府が1948年に公表した南中国海の断続線は中国の南中国海の主権と関連の権益を強調するためのものである。その中の領土問題は慣習国際法が調整する範囲であり、『条約』が調整する範囲ではない。したがって、慣習国際法問題に関わるため、中国の断続線に関する主張は『条約』と合致していないと言うことはできない。
日本の朝日新聞:まず、今回、仲裁裁判所は南中国海がどの国に属するかを裁定しなかった。中国の受け入れない、参与しないという立場は南中国海問題を解決したくないように見受けられる。もう1つ、中国の南中国海問題における目的と構想は何か。
欧陽玉靖司長:1つ目の質問について、フィリピンが申し立てた南中国海仲裁案に対し、中国の受け入れない、参与しないという立場は明確なものである。フィリピンの申し立てには2つの重要な内容がある。1つは領土問題、もう1つは海洋境界争議問題に関することである。
この2つの問題について、領土主権問題は『海洋法に関する国際連合条約』が調整する範囲ではないと私は述べた。海洋境界問題について、中国は排除性の声明を出し、世界の30以上の国がこのような排除性の声明を出している。国連安全保障理事会の常任理事国5ヶ国のうち、『条約』に加盟していない米国を除く4ヶ国ともが排除している。この点を考慮すると、中国側の南中国海仲裁案を受け入れない、参与しないという立場は『条約』を含む国際法に合致しており、中国の国際法の権威を維持し『条約』の完全性を守るという正義の行動である。
当然、中国は南中国海問題を解決したくないわけではない。中国とフィリピンは両国間と『南中国海行動宣言』でも、話し合いを通して争議のある問題を解決すると明確にしている。
2つ目の質問について、南中国海における最終目的を明確にさせるには、まず南中国海問題の中核を見極める必要がある。先ほど私は、南中国海問題の中核は領土問題と海洋境界問題だと述べた。
南中国海問題の処理において、私たちの立場は次の3つである。1つ目は話し合いで争議を解決する。2つ目は規則・メカニズムで争議を管理する。3つ目は開発協力で争議を緩める。当然、最終的に争議を解決することが最も理想的だが、周知の通り、南中国海を含み、世界には多くの海洋境界問題が存在する。中日間の東中国海問題もそうである。これは海洋境界問題そのものが非常に複雑であるためである。私たちの目標は直接の当事者と歴史事実に基づき、国際法の基本原則を尊重し、話し合いを通して争議を解決することである。
争議が最終解決するまで、私たちは制定した関連の規則、構築・整備された関連のメカニズムを通して争議を管理することを主張する。例えば、中国とASEANは『南中国海各側行動宣言』の枠組みのもとで海洋協力を展開すると同時に、『南中国海行動準則』を制定する。そうすることで、争議が最終解決するまで、全体の平和と安定を維持できる。
また、争議を緩めるため、私たちは地域協力の推進を提唱する。共同開発は、各方面の協力による受益、相互信頼の促進につながり、争議の最終解決に良好な外部環境、世論環境、民意環境などを築く。
要するに、争議が最終解決するまで、私たちはASEANと共に南中国海の平和と安定を維持し、南中国海を本当の意味での平和の海、協力の海、繁栄の海にしていく。
中国語網日本語版(チャイナネット)2016年5月8日
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