輸入化粧品に対する税制度が変更になるとの情報が伝わると、あれほど多くの消費者の「心を揺さぶる」のはなぜかといえば、海外通販が今や通信販売を利用する人々の「標準装備」になっているからだ。ビッグデータからみえる「海外通販族」の姿に注目してみよう。「科技日報」が伝えた。
海外直送、どこでも送料無料などなど……インターネットが便利になるにつれて、中国の消費者の海外商品購入も便利になり、越境EC(電子商取引)では化粧品が代表的商品となって人気を集めている。海外通販族はどんな化粧品を好むのだろうか。選択肢が多い中、どれがお値打ちなのだろうか。
▽海外通販族は化粧品に熱中 「国民挙げて代理購入」の風潮に乗っているか?
上海市のホワイトカラー杜苗さんは、大学生だった2011年から輸入化粧品を使っている。当時は海外通販がまだなかったので、主に海外に行く友人に頼んで買ってきてもらうなどしていた。13年になると基本的に自分で海外通販を利用して買うようになり、「年間5千元が浮くようになった。海外通販の「微店」(wechatの店舗)も開設して友人たちの海外製品持ち込みをサポートしている」と話す。
便利なネットをよりどころに、越境ECは急速な勢いで発展している。商務部(商務省)の予測では、16年の越境ECの輸出入額は6兆5千億元(約107兆5073億円)に達し、17年は8兆元(約132兆3166億円)の規模に達し、今後数年間は年間成長率が30%を超えるという。
▽何を買う?
淘宝(タオバオ)の海外通販プラットフォーム・全球購が海外通販利用者5千人を追跡調査して発表した「10年海外通販報告」をみると、海外通販利用者が最初に買うのは化粧品(コスメとスキンケア製品)で、半分以上が購入している。だが天猫国際(Tmallグローバル)の統計では、化粧品と衣類・アクセサリー・靴類・カバン類の占める割合は低下する一方、お茶・アルコール・お菓子、栄養製品・保健製品、日用雑貨の割合が上昇を続けているという。
▽化粧品を買うのは誰?
天猫国際のデータをみると、化粧品がさまざまな販売品目の中で上位3位をキープし、約4分の1を占めている。年代別にみると、若い層ほど「美を追求」し、大学生の人気商品10品目では、2位の粉ミルク以外はすべて化粧品で、マスク、乳液、口紅、BBクリームなどが並ぶ。
▽どこで買う?
360マーケティング研究院がまとめたデータをみると、海外通販で化粧品を買う時、購入先で真っ先に選ばれるのは韓国で、検索件数では韓国が64%を占めた。日本と香港地区がこれに続く、15年末に韓国関税庁が発表したデータをみると、ショッピングイベント「ダブル11」(11月11日)の期間に天猫商城を通じて韓国から中国に輸出された化粧品は737万ドル(約7億9338万円)に上り、中国人消費者が韓国から海外通販で購入する商品のうち化粧品の占める割合が80%を超えた。
▽海外通販に新税制度実施 免税ではなくなるが「手切族」は健在?
4月8日から、中国では越境ECの小売輸入商品に対する新しい税制度がスタートした。これまでは個人持込・郵送税法式で課税されていたのが、貨物ごとに関税、輸入通関時の付加価値税、消費税を納めるようになった。海外通販族が関心を寄せるのは、税制度が変わってどんな影響が生じるかだ。
業界関係者の話によると、「多くの小規模越境ECプラットフォームが急速な発展拡大を遂げたそのやり方は、海外の工場から大量に物品を買い付け、中国国内の保税区にある倉庫にストックするというものだった。貨物が国内の保税区の倉庫に到着した時には、関税を支払わず、保税区を離れる時には、小分けにして郵送するなど『アリの引っ越し』のような方法で、直接買い手に送り届け、個人持込・郵送税を納めるだけで一般貨物の関税は納めていなかった。一つ一つの小包は小さく、関税を納める必要があるものはほとんどなかった」という。事実上の免税措置のようなものだ。
中国電子商取引研究センターの曹磊主任は、「現在、中国で扱われている小包の90%以上が税金を払わずに国境に入ってくる。中国の越境ECの小売輸入規模や中国国民の海外でのショッピングの規模は年間数千億元(1元は約16.5円)に達していながら、14年にすべての持込貨物や郵送貨物にかけられた個人持込・郵送税は10億元(約165億円)にも満たず、税収の流出問題がかなり深刻だった。税制度改革は国の輸入税流出を最大限くい止めてくれ、これまで数年間にわたり『やりたい放題に伸び続けてきた』越境EC産業と個人の海外代理購入が規範化されることになる」と話す。
それでは海外通販の化粧品は高くなるのか、それとも安くなるのか。業界関係者は、「100元が分かれ目だ。100元以下のコスメやスキンケア製品などはもともと税金が免除されていたので、これからは32.9%の税率が適用され増税して値上がりする。100元以上のコスメの税率は下がって、50%から32.9%に変わる。スキンケア製品はさらにお得で、100元以上の製品の税率は70%から32.9%に下がる」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年5月9日
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