欧米のように、モバイルインターネットの時代が訪れる前にさまざまなサービスが選択できる状況であったわけではないこともあり、中国の若者は現在、西洋の若者以上にスマホを多用する。専門家は、「中国では現在、『スマホで全てを済ませる』社会が形成されつつある」と指摘している。参考消息網が報じた。
ドイツ紙「ディ・ヴェルト」電子版によると、スイスのある会社で働く上海出身の女性・王さんは、スマホで飛行機のチケットやホテル、タクシーを予約する。また、第三者決済サービスのアプリを通して資金運用をし、不動産情報サイト・安居客を通して家を探す。さらに、家にいる間にスマホで注文を済ませてからレストランに行くため、待つ時間もなくすぐに食事ができる。
「何でもスマホを使う」と王さん。そして、ダウンロードしたばかりのアプリを操作しながら「夫のために明日の車を予約している」と話し、3分もすると手配が終わった。「5年前には考えられなかったことだ」と彼女は言う。
王さんは、スマホを使って日常生活中のあらゆることをする中国人の若者の一人にすぎない。中国では、特にいわゆる「80後」(1980年代生まれ)や「90後」(1990年代生まれ)がスマホを通してショッピングをしたり、出前の注文をしたり、家を探したり、旅行を計画したり、恋人を探したり、さらには子供の出産計画までしてしまう。パソコンやクレジットカード、固定電話などを使った予約はもう過去のものだ。
報道によると、欧米のように、モバイルインターネットの時代が訪れる前にさまざまなサービスが選択できる状況であったわけではないほか、第4世代移動通信網(4G)以上のインターネットが急速に普及し、中国の若者は、西洋の若者以上に、スマホを多用する。専門家が、「中国では現在、『スマホで全てを済ませる』社会が形成されつつある」と分析するほどだ。
王さんにとって、スマホが生活に欠かせない重要アイテムになっているのは、操作が簡単だからだ。王さんの両親も便利であることを知っており、「母親がしょっちゅう電話してきて、スマホでいろんなものを予約してほしいと頼まれる」という。
これは、中国で深刻なスマホ依存症になっている人達の特徴にマッチする。中欧国際工商学院の蒋炯文教授(マーケティング学)によると、「スマホユーザーで最も多いのが女性や若者。特に1990年以降に生まれた消費者は実際に何でもスマホを使って解決する」。
市場調査機関の北京騰雲天下科技の統計によると、スマホを使った取引の52.5%を女性ユーザーが占めている。同社の戦略責任者・ウィリアム・プラマー氏は、「非常に若いマーケットセグメンテーション」と分析する。中国のモバイル通販のユーザーの57.9%が26歳から35歳。25歳以下のユーザーが、市場シェアの17%を、36歳から45歳のユーザーが20.2%を占めている。
報道によると、中国の「スマホ革命」には複数の原因があり、その一つが高速インターネットの大規模建設。また、スマホの普及も原因の一つだ。市場調査会社・ミンテルによると、中国で販売されたスマホは昨年、4億6100万台だった。つまり、中国人の3人に1人が新しいスマホを購入した計算になる。
蒋教授は、「現在、発展途上の都市と農村地域が成長の原動力」とし、「中国は今後、広範囲でパソコンやクレジットカードなど従来の決済方法を飛び越える、世界初の国になるだろう」と予測している。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年5月11日
|