報道によると、日本政府は13日に観光立国推進閣僚会議を開催し、中国、ロシア、インドの各国向けのビザ発給要件の緩和に関する取り組みを推進することを正式に確認し、2020年の訪日観光客をのべ4千万人に引き上げるとの目標をうち出した。在中国日本国大使館の話によると、日本の外務省はこのほど公式サイトで「中国向けのビザ発給要件の緩和」の公告を発表し、中国国民に対するビザ発給要件の緩和を決定したこと、特に文化人・知識人、一定範囲の大学の学生などが対象であることを明らかにしたという。
発給要件緩和の具体的な内容は次の2点。数次ビザに係る商用目的・文化人・知識人の対象を拡大し、有効期間を最長10年に延長するなどして、発給要件を緩和することが1つ。中国教育部(教育省)直属の75大学の在学中の学部生、大学院生、課程を修了した卒業後3年以内の者を対象に、一次ビザの申請手続きを簡略化することが1つだ。
これまで日本は中国の高所得者を対象に数次ビザを発行してきたが、今回の最長10年の数次ビザは収入だけをボーダーラインにするのではなく、商用目的、文化人、知識人が最も大きなメリットを享受することになる。
在学中の学生や社会に出たばかりの大卒者は今後、十分な資産がないことを理由に日本のビザを諦める必要がなくなる。
▽解説:訪日観光客を呼び込んで経済を振興させたい日本
中国現代国際関係研究院日本研究所の劉軍紅研究員は、「このたびの日本政府のビザ発給要件緩和政策は、実際にはビザを免除することはできないという条件の中での限定的な要件の緩和であり、その背後にある主な狙いは、日本経済の振興だ」と指摘する
また劉研究員は、「観光立国戦略は、日本経済がデフレ状態にあり、国内の需要が全体として不足する状況の中で提起されたものだ。金融や財政といった伝統的な政策ツールでは、日本政府は『これ以上打つ手はない』状態で、唯一の光明は中国やアジア各国の観光客を呼び込んで日本で消費してもらい、内需の不足を相殺してもらうことだ」と指摘する。
海外から大勢の観光客が日本を訪れていること、とりわけ日本で大量に買い物することが、日本経済の振興で大きな役割を果たしていることは間違いない。
劉研究員は、「海外からの観光客の消費がもたらす経済成長は、実際、日本の名目GDP(国内総生産)のマイナス成長局面を変化させている」と話す。
だからこそ、安倍政権は訪日観光客の目標人数を絶え間なく引き上げてきた。初めは3千万人だったのが、このたびの会議では4千万人に引き上げられた。
日本政府観光局(JNTO)が発表したデータをみると、2015年度(15年4~16年3月)の訪日外国人観光客数は過去最高ののべ2136万人に達し、前年比45.6%増加した。これにより観光、旅客輸送、貨物輸送を含むサービス貿易の赤字が大幅に縮小して1兆2100億円になった。
注目すべき点は、15年に日本を訪れた中国人観光客はのべ500万人で同107%増加し、訪日外国人観光客に占める割合は4分の1に過ぎないながら、外国人観光客の観光消費に占める割合が41%に達したことだ。
▽優れた人材に来てほしい日本
劉研究員によると、「経済の振興をはかるため、日本政府は査証の要件緩和では主に『人』を見ている」という。
歓迎される人には主に2タイプあり、1つは日本で消費してくれる高所得層、もう1つは知識水準の高い先端技術をもった人材だ。日本政府はかつて中国の造船技術者を大量に募集したことがある。中国の造船業で生産能力が過剰になり、若くて新しい造船技術を身につけた人々がたくさん職にあぶれていたので、こうした人を日本に呼び込んだ。また一連のソフトウエア関係者や別の分野の先端技術者も日本に呼び込んだことがある。
劉研究員は、「今回、中国国民の一部を対象に10年の査証を発行することにしたのは、日本政府の人材導入政策の一つの方向性とみることができる。これまで日本政府はアジアの人材に向けて人材市場をより多く開放し、アジアの優れた人材に日本で働いてもらうかどうかをたびたび検討してきた。10年の査証を発行するようになると、より多くの人材が日本で働いたり生活するようになるとみられる。日本で投資やビジネスを行う人に便宜がもたらされるだけでなく、一連の質の高い人材も日本で働いたり起業したりできるようになる」と説明する。
劉研究員は新政策で75大学の学生を対象に査証申請手続きが簡略化されることについて、「こうした動きは日本国内の目下の学生不足と関係がある。学生不足のため、日本の大学は中国の学生に留学に来てほしいと強く願っている。特に一部の私立大学は深刻な学生不足で、学生数の少ない学部は廃止や学生の募集停止を余儀なくされ、教員の中には失業の危機に怯える人もいる」と話す。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年5月16日
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