近頃、「権威筋」が人民日報に頻繁に登場し、中国の経済運営やマクロコントロールなどに関する意見を発表したことが大きな話題になっている。中国のマクロコントロールの重要な手段である通貨政策もまた、高い関心を集めている。「権威筋」は、中央が定めた政策を保ち、「変形」させないようにする必要があると指摘する。全面的かつ正確、ありのままに中央経済政策会議の精神を貫徹実施し、穏健な通貨政策は真の意味で穏健を実現しなければならない。
中国人民銀行(中央銀行)は6日、「2016年第1四半期中国通貨政策執行報告」を発表した。これによると第1四半期、中国の穏健な通貨政策は比較的良い成果を収め、合理的かつ適度な流動性を保ち、実質金利の基本的安定が促進された。中国の通貨政策の現状は、人民銀行が1月8日の2016年業務会議で提起した「穏健な通貨政策実施」の決議を体現していると言える。中国は次なる段階として、引き続き適度に柔軟な、適時に予防的調整・微調整を行う穏健な通貨政策を行っていくとみられる。
▽2016年の通貨政策の現状
現在、世界経済の成長率は落ち込み、米国の利上げは幾度も延期されている。EUの量的緩和策は引き続き実施されており、新興国の成長は力不足で、疲弊がみられる。アジア太平洋地域は活力にあふれているが、ハイレバレッジのリスクが潜んでいる――。こうした状況の中、世界第2のエコノミーである中国の経済情勢とその動向が世界から注目を集めるのは当然のことだ。
2016年第1四半期の各種マクロ経済指標を見ると、中国経済の安定的な回復の兆しが徐々に見え始めている。投資の増加率は前年同期比10.7ポイント上昇し、インフレ圧力はやや緩和され、製造業・非製造業指数がいずれも上昇した。また、マネーサプライ(M2)は前年同月比13.4%増となり、新規融資も比較的速い増加を実現、中長期貸付の占める割合は比較的高かった。純資本流出の情勢はやや好転し、人民元相場も基本的に落ち着いている。こうした指標の変化の背後では、中国の通貨政策が安定期に入り、社会経済の発展と供給側構造改革に向け比較的整った通貨・金融環境を提供したことがプラスに働いているとみられる。
経済の下振れリスクに対しては、人民銀行は様々な通貨政策ツールを総合的に活用することによって、合理的かつ十分な流動性を維持し、伝統的な通貨政策メカニズムを改良し、外部経済あるいは資本流動が中国のマクロ経済政策に及ぼすマイナス影響を最低限に抑えることができる。
▽2016年の中国通貨政策を解読
全体的に見て、中国は今年も引き続き穏健な通貨政策を実施し、増量を最適化し、適度な柔軟性を保ち、金融改革開放を推進し、金融リスクを防止・解消し、金融サービスのレベルを向上し、より効率的で持続可能な経済発展を促進していく。
流動性の面では、人民銀行が使う通貨政策ツールには、定期的・構造的という特長がある。現在、人民銀行は主に短期流動性オペ(SLO)、常設貸出ファシリティ(SLF)、中期貸出ファシリティ(MLF)および担保補充貸出(PSL)などのツールを使って流動性を調節している。これら4つのツールは近年の人民銀行の通貨政策調整ツールの革新だ。例えば今年第1四半期、人民銀行は頻繁に「MLF+リバースレポ」方式を通じて市場に流動性を注入した。
実質金利の面では、人民銀行は公開市場操作(オペ)の頻度を高めることでマネーマーケットの金利を安定させ、通貨政策の連続性を保っている。これはマネーマーケットの金利を基準金利付近に維持するのに役立ち、公開市場操作の妥当性・有効性を高めることができる。人民銀行はこのほか、「金利コリドー(回廊)」メカニズムの模索を積極的に進めている。これは、銀行に「貸付ファシリティ金利(上限)」「預金ファシリティ金利(下限)」をそれぞれ提供し、通貨政策の枠組みの数量型から価格型への転換を促進するというものだ。また、価格レバレッジを十分に活用して市場期待を安定させ、企業の融資コストの低下を後押しし、金融の実体経済へのサービスの効率を高めている。
信用貸付の面では、人民銀行は貸付資産担保再融資という革新的な手段を用いて、銀行の遊休資産を活用し、市場の流動性を高めている。この革新により、人民銀行のベースマネー発行と銀行の貸付を密接に結びつけることができる。人民銀行はこのほか、内部格付手法(IRB)の試行の拡大、マクロプルーデンス政策の枠組み改善などを通じて、小零細企業、「三農問題(農村、農業、農民)」、バラック密集地の改造といった国民経済の重点分野や脆弱な分野への金融機関の貸付を増やし、融資コストの引き下げを図っている。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年5月17日
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