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G20杭州サミット、経済成長の潜在力を発掘

 

2016年の20カ国・地域(G20)サミットは、9月に杭州市で開かれる。今回のサミットのテーマは、「革新、活力、連動、包容のグローバル経済の構築」で、「包容と共同の発展」が中心的な議題の一つになる。中国側の働きかけにより、今年のG20は初めて開発の問題を世界マクロ政策枠組みの目立つ位置に据え、初めて「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の実施に向け系統的な行動計画を制定する。G20主催国である中国がこうすることには、深い意義がある。

G20の開発と協力の推進は、同アジェンダを実行に移すため必要だ。2016年はその「元年」だ。国連持続可能な開発サミットが昨年9月に採択した同アジェンダは、未来志向の開発計画であり、重みのある承諾書でもある。目標制定は万里の長征の一歩目に過ぎず、これを真の実行に移すため、各国は取り組みを強化し協力しなければならない。G20は経済協力の主な国際舞台であり、国際社会はG20がリーダーシップを発揮することに期待している。

G20の開発協力の推進は、世界の経済成長の新たな原動力を掘り出すため、避けては通れない道だ。世界の経済成長は原動力が乏しく、貿易と投資が低迷している。主要経済体のマクロ政策に二極分化が生じており、新たな開発の不平等・不均衡を招く可能性がある。多くの発展途上国は開発の大きな潜在力を秘めている。これは未開の大洋であり、見積もり難い成長の原動力を引き出し、世界経済の希望に火をつけることができる。

G20の開発協力の推進は、中国がG20にもたらした独特なアングルだ。中国は最大の発展途上国であり、独特な発展の経歴を持つ。またその他の発展途上国とも緊密な関係を維持している。2016年のG20主催国である中国はリーダーシップを発揮し、G20が同アジェンダを全面的に実行し、世界経済成長の新たな道を模索し、世界の開発事業に重要な貢献を成し遂げるようけん引するべきだ。「包容と共同の発展」という議題は、持続可能な開発問題を直視し、各経済体の共同推進を促す。また各産業のウィンウィン、各層の繁栄と共有を促し、サミットの大きな見どころになることは間違いない。

G20は今年、同アジェンダの行動計画を制定・実行し、集団行動・国別行動によって、自国の取り組みを積極的に推進する。それと同時に発展途上国に支持を提供し、着実な行動により国連事業に貢献する。

G20は今年、アフリカと後発発展途上国の産業化の協力を支持し、各国の産業化の発展の加速に協力し、貧困削減と持続可能な開発の目標を実現する。

G20は今年、気候変動問題を高度に重視し、すでにG20の史上初となる気候変動問題に関する主席声明を発表している。4月22日以降にパリ協定に早期調印し、同協定の早期発効を促すと約束した。国連の潘基文事務総長は、G20が責任ある姿勢を示したことに歓迎すると特に言及し、中国のリーダーシップを称賛した。

G20はさらに、農業、雇用、包容な商業などの問題について広く議論する。また女性、若者、農家に注目し、農業の革新と持続可能な開発を促す。マクロ政策の調整と雇用拡大の関係を模索し、創業による雇用創出を奨励する。

G20が強調するのが、「大開発」という概念であることに注意が必要だ。自国の比較優位性と付加価値に基づき、開発の問題を直視し実行可能な行動計画を提案すると同時に、経済を見据え成長と開発の関係を多角的に検討する必要がある。開発のために開発を論じるだけではなく、開発を経済成長の源泉、G20の議事日程を貫く遺伝子とすることで、各種議題に浸透させる。マクロ経済政策から国際貿易・投資、革新的な成長モデルから世界経済ガバナンスに至る今年のG20の議事日程には、開発という見地が欠かせない。

「革新的な成長モデル」という議題について、G20は革新、新産業革命、デジタル経済、構造改革などの問題を重点的に議論する。革新駆動および構造改革を通じ、単純な財政刺激と金融緩和策に依存する現状を打破し、中長期的な成長の潜在力を高める。中国はG20の革新的成長の青写真の制定を推進し、包括的な革新理念を強調し、開発途上国の研究開発能力の強化への支援を重視している。先進国と開発途上国の産業化の格差とデジタルデバイドを縮小し、開発途上国の新経済への進出のハードルを引き下げ、ボーナスの共有に力を貸している。

「より効率的な世界経済・金融ガバナンス」という議題について、G20は世界経済ガバナンスのメカニズム改革の推進に力を入れ、開発途上国と新興国の地位と発言権を高める。中国は今年、G20国際金融枠組み作業部会を再開し、国際金融機関(IMF)と世界銀行の改革推進を継続する。国債再編や、世界金融セキュリティネットワークなどの問題の議論を掘り下げる。普恵金融(金融包摂)を推進し、金融により多くの開発途上国と弱者に貢献する。エネルギー、汚職撲滅のガバナンスと協力を強化し、エネルギー効率・再生可能エネルギー行動計画、汚職官吏引き渡し原則を制定する。法治・規範化された、良好な国際発展環境を形成する。

「力強い国際貿易・投資」という議題について、G20は昨年ナイロビで開催された世界貿易機関(WTO)閣僚会議の成果を踏まえた上で、多国間貿易体制を維持し、国際貿易成長戦略を制定する。貿易金融を促進し、貿易コストを引き下げ、開発途上国による国際バリューチェーンの能力建設への参与を促す。国際投資制度指導原則の制定を促し、国際投資ガバナンスの空白を補う。G20による低所得国への投資促進を提案し、低所得国の投資環境と魅力を強化する。

中国は議題に力を入れるほか、開発途上国のG20における地位向上を重視している。史上最多の開発途上国を通年の会議に招待し、一連の対話を実施した。筆者は今年4月、G20事業の中国側の担当者として、国連による同アジェンダの実施に関するハイクラス弁論会に出席し、77カ国グループ(G77)、特別な苦境に置かれた国、グローバルガバナンスグループ、イギリス連邦、仏語圏諸国と対話を行った。モーエンス・リュッケトフト国連総会議長はG20杭州サミットの準備を特に重視しており、筆者を中国側の代表者として、国連総会議長の小規模な朝食会に招待した。筆者は各国、特に開発途上国の代表者とG20の準備の進捗状況、同アジェンダの取り組みについて率直に意見を交わした。中国はさらにボアオ・アジアフォーラム、アフリカ連合、国連アジア太平洋経済社会委員会などの場を利用し、G20加盟国と各国の意思疎通を強化した。こうしてG20の議論をより全面的かつバランスの取れた内容とし、より広範な国際開発協力に向け有益な貢献を成し遂げた。

上述した各国、特に開発途上国との意思疎通において、筆者はG20が単なる20カ国によるG20ではなく、より多くの開発途上国、さらには全世界のG20であると深く実感した。G20は多くの議題を取り扱い、各国が関心を寄せる問題を網羅する。G20の成果は重要で、各国の着実な利益に関わる。G20の責任は重大で、世界経済の活力を取り戻すという栄えある使命を担う。そのため杭州サミットのドアは、常に世界に向け開かれている。杭州サミットは人々の知恵と力を集めるサミットになる。開発途上国はその中で常に、独特な目立つ位置を占める。

G20は今年、開発問題に焦点を絞ることで、杭州サミットに異彩を放たせ、より力強い合図を出させ、より深い影響を生じさせることだろう。G20首脳が今年9月、西湖に集い議論し、世界発展のコンセンサスの実行を促し、世界経済成長に新たな原動力を注ぐことに期待しよう。(筆者・李保東 G20事務中国担当者、中国外交部副部長)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年5月24日

 

 

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