ライブ配信が、今年の最もホットな「インターネットへの出入口」の一つとなったことは否定できない。同時に、節度にかけた一部の現象も、社会の物議を醸している。だが、大多数の人々の想像に反し、ますます多くの若者がライブ配信を観るのは、刺激を追い求めるためではなく、「つまらないものを観る」ことが目的となっている。中国青年報が伝えた。
コメント機能付き動画サイト「bilibili」が今月17日に明らかにしたところによると、同サイトがシャオミ(小米)と提携して試験放送した「小米MAX超耐久無聊待機ライブ」は、7日間を超えた生放送期間中、1千万を上回るユーザが視聴したことを明らかにした。7日間のライブ放送中、パーソナリティがやったことといえば、お馴染みの歌やダンスのパフォーマンス以外に、何もしない・食事をする・絵を描く・ゲームをする・テントを張って寝るなど、「見どころ」が探し出せない状況が続いた。16日午後、ライブ配信の実験の「つまらなさ」は明らかに極限に達し、「天下一のぼんやり大会」までやり始め、ライブはぼんやり一色に包まれた。
bilibiliライブ配信のメイン画面右側には、「過去7日間の餌やりランキング」のコーナーが設けられている。ランクインしているユーザーは、過去7日間に、このライブ発信で獲得した賞金額が最も高い人々だ。この「最もつまらないライブ」に、多額の賞金が出されていたことは、誰もが想像しなかったことだ。また、賞金を出す側も、最高で2492.1元(1元は約1.68円)投じていた。
女性パーソナリティが食事をするライブ配信で1カ月に1万元以上を稼いだことから、映画「百鳥朝鳳」のプロデューサーがライブ配信中に跪いて公開予定をアピールしたことで興行収入がアップしたことまで、小米とbilibiliが今回行った「最もつまらないライブ配信」は、若者層に的を絞った新しいタイプのマーケティング方法を模索する手段となった。
「これは、若者世代の空虚さを反映しているにすぎない」と指摘する人もいる。bilibili側が今回の試みに関して投稿した公式微博(ウェイボー)上で、多くのネットユーザからは、「本当に暇すぎ」「本当にくだらなさすぎる」などのコメントが多く寄せられた。
生放送視聴・発信アプリ「在直播」の呉哲CEOは、「ライブ配信の人気の高さは、現代生活における若者世代の孤独を反映している。彼らの多くはまだ学生で、現実生活や社交生活において、経済的基盤や社会的地位はもちろん、社交力においても決して優れてはいない。だからこそ、二次元というマイノリティーの世界で周囲から認められることを望んでいる。これは、『つまらないライブ配信』に人気が集まる原因のひとつとなっている」との見方を示した。(編集KM)
「人民網日本語版」2016年5月24日
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