三菱マテリアル(旧三菱鉱業)は1日に声明を発表し、第二次世界大戦期間に日本に強制連行された元中国人労働者と和解したことを明らかにした。新華社が伝えた。
同社は声明の中で元中国人労働者に謝罪し、元労働者本人あるいはその遺族に1人当たり10万元(約170万円)の賠償金を支払うことを承諾した。賠償対象となる元中国人労働者は計3765人。
▽日本で記念碑を建立へ
日本外務省が戦後に発表した資料によると、第二次世界大戦中に日本に強制連行された中国人労働者は約4万人。うち、三菱マテリアルの前身である三菱鉱業およびその傘下企業によって労働を強いられた人は3765人で、722人が死亡した。
1990年代以降、元中国人労働者とその家族は日本の各裁判所で日本政府と三菱マテリアルなどの日本企業を相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こしてきた。
今回は三菱マテリアルにとって、元中国人労働者との間の初の賠償協定となる。同社の木村光・常務執行役員は同日、3人の元労働者と北京で和解に関する調印式を行った。
三菱マテリアルは声明の中で、「歴史的責任に対し真摯かつ誠実な謝罪の意を表明」したほか、謝罪の証として1人あたり10万人民元を支払うとしている。
共同通信の報道によると、三菱マテリアルが現時点で把握している元中国人労働者あるいは遺族の情報はわずか1000人あまりで、その他の元労働者とは連絡が取れていないという。
同社は声明で、「今後中国国内で基金を設立し、旧三菱鉱業の事務所において労働を強いられた、その他の元労働者またはそのご遺族の方々の所在調査と和解、記念碑の建立などを行う」とした。
三菱マテリアルの関係者は昨年7月に米ロサンゼルスを訪れ、第二次世界大戦中に三菱鉱業が米軍の捕虜約900人を鉱山で強制労働させたとして、米国人の元捕虜や遺族に対し謝罪を行っている。
▽一部の元労働者は和解案を受け入れず
三菱マテリアルが提起した和解案を全ての元中国人労働者が受け入れているわけではない。
元中国人労働者およびその家族(遺族)は2013年3月に交渉団を立ち上げ、2014年1月より三菱マテリアルとの和解交渉を開始、被害者が健在なうちに尊厳を取り戻したいと希望していた。中国側の交渉団のうち、37人の被害者からなる団体は2014年2月に北京の裁判所で損害賠償を求める訴訟を起こし、2015年2月に和解交渉から離脱している。
共同通信は1日、「昨年夏には、中国側の大半の交渉団が、三菱マテリアル側が提起した和解案の受け入れを表明したが、一部の元労働者が不満を表明したことと、賠償に関する交渉の遅れなどにより、和解に関する調印式が延期されていた」と伝えた。
中国外交部(外務省)の華春瑩報道官は1日の定例記者会見で、三菱マテリアルが第二次世界大戦中の強制労働被害者およびその遺族に賠償金を支払うことについて中国側のコメントを問われ、「関連の報道に留意している。強制連行・強制労働は日本軍国主義が対外侵略および植民統治期間に犯した重大な犯罪行為だ。日本が歴史に対して責任を負い、この問題と真剣に向き合い、適切に対処することを望む」と述べた。(編集SN)
「人民網日本語版」2016年6月2日
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