中国国家統計局サービス調査センターと中国物流・購買聯合会は6月1日、中国の製造業と非製造業の購買担当者指数(PMI)を発表した。5月の製造業PMIは好不況の分かれ目となる50を3カ月連続で上回り、安定傾向を保った。
国家統計局サービス調査センターの高級統計師を務める趙慶河氏は、5月は製造業の生産が穏やかに伸び、企業の購買活動も加速したとの見方を示した。製造業PMIを構成するサブ指数のうち、生産指数は52.3と前月に比べ0.1ポイント上昇し、3カ月続けて52.0以上となった。生産が持続的に拡大するなか、企業の購買意欲も増え、購買量指数は前月を0.2ポイント上回る51.2だった。
産業別で、ハイテク製造と消費財製造のPMIはそれぞれ50.8、51.5と、製造業全体の水準を引き続き上回り、構造調整が着実に進んでいることを示し、ハイテク産業と消費高度化に関連する製造業は拡張傾向を保った。また、生産能力の削減でも成果が上がった。高エネルギー消費製造業PMIは49.1と、前月に比べ1ポイント低下し、50を割り込んだ。なかでも非金属鉱物製品と黒色金属製錬・圧延加工などのPMIが大幅に下がり、いずれも50以下となった。
中国商務部国際貿易経済提携研究所国際市場研究部の白明副主任は、ハイテク産業が拡張すると同時にエネルギー消費産業のPMIが低下したことが、産業構造の高度化につながると指摘した。モルガン・スタンレー華鑫の章俊チーフエコノミストも、製造業PMIが3カ月連続で50以上を保つ一方、高エネルギー消費製造業PMIが50以下となったことについて、第1四半期に経済が落ち着いた後、中国政府が政策の重心を構造調整から生産能力の削減に向けたことが示されたとしている。
中国物流情報センターの陳中涛アナリストは、ここ2カ月のPMIを単月でみるとパフォーマンスが変動したものの、全体的な経済情勢は安定し、そのなかでポジティブな変化があると指摘した。特に5月の新規受注指数、新規輸出受注指数は50以上となって前年同期を上回り、市場の需要はある程度改善。また、購買価格指数は昨年12月から5カ月連続で上昇した後、5月は小幅に低下したが55以上を保ち、前年同期を6ポイント近く上回った。市場価格が上昇する傾向は変わっておらず、市場価格の回復は企業収益の改善につながるとの見方を示した。
陳中涛アナリストは、全体的にみると、4月と5月のPMIがともに50を上回ったことで経済情勢が底打ちした兆しも出ており、下振れの余地が大幅に縮小したと分析。経済回復のエネルギーが蓄積されており、調整しながら力を溜めるという特徴が表れたとみている。
チャイナネットより2016年6月2日 |