汪洋副総理は第8回中米戦略・経済対話の閉幕式で、「予想されていた通り、我々はすべての食い違いを解消できなかったが、60件以上の成果を手にした」と経済対話を総括した。楊潔チ国務委員は、双方は戦略対話で、9大分野をめぐり100件以上の具体的な成果を手にしたと表明した。中米は6日、中国の鉄鋼過剰生産能力問題をめぐり駆け引きを展開した。双方は7日、米国における人民元取引・決済、中国市場の対外開放などの経済問題について、引き続き意見交換した。楊国務委員は7日、注目されていた南中国海問題について、南中国海の平和と安定の維持に向け「建設的な力」を発揮するよう米国に促した。

ケリー米国務長官は7日、中米戦略・経済対話の米国側の会見に出席した際に、「私が出席した戦略・経済対話のうち、今回は最も実り豊かだった。中国とは、朝鮮やイラクの核問題、気候問題などの各分野で幅広く協力しており、共通点は食い違いをはるかに上回る。食い違いがあっても、双方は専門的かつ相手を尊重し、深く熟慮する方法により意思疎通しており、建設的な手段によりこれをコントロールしている」と述べた。

汪副総理は7日の閉幕式で、鉄鋼問題について「中米は鉄鋼およびその他の業界の過剰生産能力が世界的な問題、世界経済回復の遅れと需要低迷の結果であり、集団による対応が必要なことを認識した」と話した。ロイター通信の報道によると、ジェイコブ・ルー米財務長官は閉幕式で同問題について、双方は世界のアルミ過剰生産能力問題についてコンセンサスを形成しなかったと述べた。しかしルー財務長官は、中国の高官が鉄鋼過剰生産能力を「徐々に削減」すると表明したことを歓迎した。ルー財務長官はまた、米中両国の高官は、民間部門が米国で人民元取引・決済を促進することで、政策的枠組み協定を締結したと表明した。汪副総理は、米国側に人民元適格海外機関投資家（RQFII）の投資枠2500億元を設定し、かつ条件に合致する中米各一行を人民元決済銀行に指定することで合意したと述べた。

7日に開かれた中米戦略・経済対話経営者ラウンドテーブルにおいて、外資系企業の中国における投資環境に関するルー財務長官の発言が、外国メディアの注目を浴びた。ルー財務長官は、「中国は2014年の米国にとって、最も成長著しい直接投資来源国で、投資総額は102億ドルにのぼった。米国の経済成長と雇用に対して、重要な貢献を成し遂げた。しかし近年、外資系企業の中国投資環境の懸念が深まっている。企業はより複雑な監督管理環境に直面しており、中国で歓迎されているのかを疑問視している」と述べた。同席したケリー国務長官は、「双方は知的財産権問題や、透明性・確定性・国際ルールなどの問題を解消しなければならない」と表明した。

今回の中米対話には、外交政策と国際安全問題が含まれた。楊国務委員は7日、双方は戦略対話において、外交政策や対話の革新などの調整を行い、100件以上の成果を手にしたと表明した。楊国務委員は南中国海問題について、「中国には、領土主権および合法かつ正当な海洋権益を守る権利がある。南中国海の係争は関連国の交渉と協議によって解決されるべきだ。米国は領土係争で特定の立場を持たないという約束を守り、南中国海の平和と安定の維持に向け建設的な力を発揮するべきだ」と述べた。ケリー国務長官は記者会見で、「どのような食い違いがあっても、常識と自制が勝るべきだ。オバマ大統領の政策は、中国の政策と良く結びつけることができる」と述べた。

楊国務委員は南中国海問題について、「域外非政府組織（NGO）域内活動管理法」の制定は、中国の法に基づく国家統治戦略を推進する具体的な手段だと述べた。ケリー国務長官は7日、同問題について中国側と「深く全面的」な議論をしており、「中国側に米国の関心を厳かに伝えた」と述べた。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、今回の中米戦略・経済対話はオバマ大統領の任期内の最後の対話であり、重大な進展を実現する時間がほとんど残されていないことを意味するとした。専門家は、両国はコンセンサスを形成できる分野で合意に達したが、残された最も困難な分野については、米国の次の政権に残される可能性があると予想した。フィナンシャル・タイムズは、「中米は現在の世界で最も重要な新興国と先進国だ。大国関係の建設推進は、尽きることなき新しい問題と課題に直面する。問題を直視し解決する、これは同対話枠組みの生命力だ」と論じた。

「中国網日本語版（チャイナネット）」2016年6月8日