高所得のハードルを越えた上で、中進国への道を邁進
中国は世界銀行が定める高所得国家のハードルを越えた後も引き続き長い道のりをゆっくり歩み続けなければならない。現在、高所得のハードルは一人当たり国民総所得1万2600ドルとなっているが、米国はすでに5万5千ドルに達しており、ルクセンブルクは11万ドルとその差は非常に大きい。中国にとって「中所得国の罠」を乗り越えた後の次の目標は「中進国」への道を邁進することだ。中進国の目標は1980年代末にトウ小平(トウは登におおざと)氏が「三歩走発展戦略(三段階の発展戦略)」の中で初めて提起した。国民一人当たりの指標からみると、中進国はおよそ2015年に韓国が達成した一人当たり国民総所得2万7千ドルのレベルに相当する。中速の成長スピードで、物価要素を排除した場合、2035年前後までには中国の一人当たり国民総所得が2万6千ドルから3万ドル(2015年レート)に達するだろう。これは中国経済が再び経験することとなる重要な段階であり、改革開放以来の経済発展における「第五段階」であると言える。高所得国の列に加わり、中進国への道を邁進する上で、さらに大きな挑戦を迎えることになろうとも、中国の特色ある社会主義路線を堅持していけば、必ずや目標実現に成功するに違いない。また前述したエコノミーの発展経験から、中国は下記3点の啓発を得られる。
1つは欧米先進国の経験から、経済の発展に伴い、イノベーション駆動の重要性がますます明らかになり、要素駆動を主とした成長はイノベーション駆動を主とした成長に転換する必要がある点。中国は科学技術イノベーションを非常に重視し続けており、毎年巨額を投入している。高所得段階に達した後、イノベーションを推し進めるには全社会のパワーを投じる必要があり、イノベーション駆動の成果は全要素生産性の向上の有無によって試される。高所得段階になればなるほど、イノベーションの経済成長への寄与度を向上させる必要が生じる。
2つ目は、第二次世界大戦後に高取得段階に達したエコノミーの重要な経験として、対外開放の堅持と市場経済の実行が挙げられる点。そしてこの2点は過去30年余りにわたり中国経済がスピーディな成長を遂げた基本的な経験でもある。前者は外的条件で、後者は内的条件である。高所得段階に達した後、この2つの基本的な経験は依然として経済成長の駆動として欠かせない二つの車輪であり、一つも欠けてはならない。
3つ目は「中所得国の罠」を乗り越えて中進国への道を目指す上で、経済のポテンシャルをより一層解放し、経済の持続的な発展を支えるため、ソフト・パワーの増強に努力しなければならない点。ソフト・パワーとは無形的要素に属し、高所得段階において、その重要性は有形的要素に劣らない。ソフト・パワーの増強は主に制度と文化の構築から成り、これは一朝一夕で成し遂げられるものではない。そのため、現時点から一層重視することで、中進国入りと二つ目の百年奮闘目標達成の重要な土台となる。制度と文化のイノベーションを推し進め続けることで、中国のソフト・パワーはより強く、確固としたものになるだろう。
人民網日本語版より2016年6月13日
|