ここ数年、中国資本が絶えず日本企業に流れ込むようになり、日本企業は懸念や期待を抱いているのだろうか。中国日本商会の田端祥久副会長は20日、「中国経済と日本企業 2016年白書」についての記者会見で、「日本は中国資本を大いに歓迎する。ニュース報道が伝える極端な事例とは異なり、実際には中国企業の多くは日本企業を一気に買い取ろうなどとは考えておらず、まず資金の一部を投入して、日本企業と共同で研究開発を進め、それから中国で製造と販売を行い、こうした過程で徐々に信頼関係を構築し、さらには共同発展を追求していきたいと考えている」と述べた。
同商会の古場文博会長は次のように補った。「中国民間企業の対日投資は、日本企業と提携して第3国で事業を展開し、日本企業の世界に広がる人脈プラットフォームを利用し、それぞれの長所を生かして、ウィンウィンを実現することが狙いだ」。
16年白書は同商会が中国に進出した日系企業8894社を対象に、その直面する問題を調査・分析して作成されたもの。白書によると、15年の日本の対中投資額は32億ドル(約3342億円)に上り、前年比25.9%減少し、3年連続の減少となった。主な原因は、中国の投資環境の変化で、人件費の値上がりや労働力の確保難などの要因が影響したという。
日本貿易振興機構(ジェトロ)が昨年10~11日に中国に進出した日系企業を対象に行ったアンケート調査によれば、今後1~2年間に中国事業の範囲を拡大するつもりがあるとした企業は11年の66.8%から大幅に減少して38.1%になり、中国での経営規模を縮小する、中国から撤退する、第3国に移転するとした企業は11年の4.4%から10.5%に増えた。
日本の財務省が20日に公表した貿易データをみると、5月の日本の対中輸出は前年同月比14.9%減少し、3カ月連続のマイナスになっただけでなく、減少幅が4月の7.6%の2倍にもなった。
だがすべての産業が事業規模の抑制や縮小を考えているわけではない。事業拡大の意志を示した企業を産業別にみると、製造業では食品が52.4%、輸送機械工業が43.5%、非製造業では卸売・小売産業が50.9%など、国内消費型産業の割合が高かった。一方、輸出型産業である繊維は19.2%と、初めて20%を割り込んだ。
同白書によると、15年は日系企業の対中投資戦略が転換した重要な曲がり角の年で、この年に輸出型の投資は減少し、国内消費型の投資が増加した。輸出型企業は中国事業の優位性が徐々に失われ、国内消費型企業は中国を潜在的な市場とみなし、今後も引き続いて中国市場の開拓を強化していく考えだという。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年6月21日
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