習近平国家主席は今年3月のチェコ訪問から3カ月以内に、再び中・東欧を代表する国であるセルビアとポーランドを訪問した。中国が中・東欧との協力をこれほど重視するのはなぜか?中国―中・東欧協力(16プラス1)制度が現在挙げている三重の効果は、人々の関心に応えるものだ。(文:王義■(木へんに危)同済大学ドイツ研究センター兼職研究員、中国人民大学EU研究センター長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)
第1に、地域協力のデモンストレーション効果。「16プラス1協力」は中国とASEANの「10プラス1協力」に続き成功した協力制度だ。「一帯一路」(1ベルト、1ロード)の地域協力の枠組における実行として、「10プラス1」と「16プラス1」は「一路」「一帯」の2つの模範といえる。4年余りの実践を経て、「16プラス1協力」制度はすでに多くの成果を挙げ、他の地域協力の模範となっている。まさにこの枠組の下で、中国とセルビアの国際生産能力協力は、欧州において国際生産能力協力の模範を確立し始めている。習主席が見学したセルビア・スメデレボ製鉄所はその象徴だ。
第2に、中国・欧州関係のインセンティブ効果。中・東欧16カ国中、11カ国はEU加盟国であり、5カ国はEU加盟を申請中または希望している国だ。ポーランドとセルビアはそれぞれ「16プラス1協力」制度下のEU加盟国と非EU加盟国のリーダーだ。ポーランドは2004年のEU東方拡大の優等生だが、EUからの支援は2020年で終わる。そこでポーランドは積極的に東に目を向け、中国の対欧州投資の玄関口となることを望んでいる。近年相次いで打ち出された「中国・欧州協力2020戦略計画」、「平和、成長、改革、文明」の中国・欧州4大パートナーシップの構築といった中国・欧州関係の大きな枠組の下、「16プラス1」協力は新たな合法性を得た。当初EUが懸念していた欧州分断ではなく、反対に欧州地域の融合強化を支援する新たなプラットフォームだ。
第3に、「一帯一路」建設の規模効果。「一帯一路」の沿線60数カ国中、中・東欧諸国は4分の1を占める、世界新興市場の重要な一部だ。したがって、中国―中・東欧協力はまさに「一帯一路」建設の規模効果を発揮している。まさに、いわゆる「皆で柴を拾って燃やせば炎が高くなる」であり、「16プラス1協力」制度は「一帯一路」建設の集団効果を体現している。中・東欧はアジアと欧州をつなぐ要衝、大通りであり、セルビアとポーランドは「一帯一路」イニシアティブに最も早く呼応した国だ。現在、セルビアは「再工業化」戦略を積極的に推し進め、「一帯一路」と連結して、一層の外資導入を渇望している。セルビアが「16プラス1協力」制度の欧州側インフラ調整国であり、ハンガリー・セルビア鉄道の改造に取り組んでいることには、非常に重要な戦略的、経済的意義がある。ハンガリー・セルビア鉄道はバルカン地域の河川輸送協力によって南はギリシャ・ピレウス港にまで通じ、中欧州陸海エクスプレス・レーンを構成して、中・東欧地域の「三海港区」と「一帯一路」を連結する助けとなる。ポーランドは中国にとって中・東欧における最大の貿易パートナーだ。近年、ポーランドは独特な地理的強みを発揮し、「一帯一路」戦略のチャンスを積極的に捉え、ウッチ―成都間の「蓉欧快線」、蘇州―ワルシャワ間の「蘇満欧」など欧州とアジアを結ぶ交通網によって、欧州とアジアのコネクティビティの懸け橋となっている。
要するに、「16プラス1」協力制度下の非EU加盟国、EU加盟国の代表であるセルビアとポーランドによる「一帯一路」建設への積極的な参加は、「一帯一路」地域制度化の新たな成果、新たな方向性を代表している。(編集NA)
「人民網日本語版」2016年6月21日
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