青海省西寧市と西蔵(チベット)自治区拉薩(ラサ)市を結ぶ高原鉄道・青蔵鉄道が全通して、1日で10周年を迎えた。高原鉄道としては世界最高、最長の同鉄道は、世界の鉄道史に「奇跡」を起こし、青海省と西蔵自治区で暮らす人々の間では、「幸せな天路(天の道の意)」と呼ばれている。新華社が報じた。
青蔵鉄道が10周年を迎えるにあたり、経済や地元住民の所得、生態系、観光など10分野のデータをまとめた。これらデータから、10周年を迎えた同鉄道は、経済に貢献し、人々の幸福に寄与しているだけでなく、生態系にも十分考慮されていることが分かる。
1.今年5月末の時点で、同鉄道の利用者数は延べ1億1500万人。輸送した貨物は4億4800万トン。また、利用者と貨物輸送量は、毎年平均15.3%と、6.6%のペースで増加している。西蔵自治区だけを見ると、チベットへの往路・復路した観光客数は延べ1800万6000人、往路・復路した貨物数は3192万7000トンとなっている。
2.同鉄道開通後、西蔵自治区の国民総生産(GDP)は、248億8千万元(約3856億円)から1026億3千9百万円(約1兆5909億円)まで増加し、毎年平均10%以上のペースで増加を続けている。青海省のGDPも641億5百万元(約9936億円)から、2417億5百万元(約3兆7464億円)へと増加した。
3.2015年、西蔵自治区を訪れた国内外からの観光客は延べ2018万人で、観光收入は282億元(約4371億円)と、10年前と比べてそれぞれ11倍と15倍となった。一方、同年、青海省を訪れた国内外からの観光客は2315万4000人で、観光収入は248億3百万元(約3844億円)と、10年前と比べて3.6倍と7.3倍となった。
4.同鉄道の開通によって、西蔵自治区の住民の生活が豊かになっている。15年末の時点で、同自治区の農民、牧畜民の平均可処分所得は8244元(約12万7800円)と、10年前と比べて4倍となった。都市部の平均可処分所得も2万5457元(約39万4600円)と、10年前と比べて3倍になった。
5.同鉄道では、高原の野生動物のために33本の野生動物用通路を設置。04年には56.6%だった同通路の使用率は、11年以降は100%となり、野生動物の繁殖と生息をサポートしている。
6.同鉄道の青海省格爾木(ゴルムド)市と拉薩市を結ぶ区間には、15カ所の汚水処理場が設置され、ラサ、那曲(ナクチュ)、安多(アムド)、沱沱(トト)河などの区間の汚水を処理している。処理後の水質は、生活飲用水に適する「二類飲用水」の基準を満たす。
7.青蔵鉄道の沿線には、52カ所に強風モニタリング地点を設置。強風の情報を、インターネットを通してリアルタイムで観測することができる。また、唐古拉(タンラ)山を含む32の駅で、分岐器の自動融雪器を導入し、悪天候の日でも列車が走行できるようにしている。また、全線の輸送調整の指揮が、遠隔化、情報化、スマート化されている。
8.同鉄道は、「高木と低木と草をそれぞれに適した場所に植える」という原則に基づき、砂漠化の防止・改善を進めている。現在、同鉄道の沿線のグリーンベルトは708キロに達し、地球の第三の極地での緑化という奇跡を起こしている。
9.同鉄道の格爾木市と拉薩市を結ぶ区間の全長は1142キロ。世界で標高が最も高く、最長の高原の凍土地帯を走る鉄道だ。そのうち標高4000メートル以上の永久凍土の区間の長さは550キロで、列車の最高時速は100キロと、どちらも世界一を誇る。
10.75種類のマニュアルと12の診療所。青蔵鉄道公司は、列車事故や自然災害、交通の安全や伝染病などに関する75種類の対応マニュアルを整え、格爾木市と拉薩市を結ぶ区間には、12カ所に診療所を設置している。また、西蔵自治区に入る全ての車両に、医療スタッフ2人が同乗している。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年7月1日
|