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東中国海ガス田開発問題、仲裁で損をするのは日本

 

共同通信は消息筋の話として、自民党の東中国海資源開発に関する委員会が、国連海洋法条約に基づき常設仲裁裁判所に対して仲裁手続きを申し立てるよう政府に求め、中国が東中国海で実施中のガス田開発を停止させる方針を固めたと報じた。報道によると、最近の仲裁結果は「中国の南中国海の主権を否定する裁決」となったため、同委員会は国際司法機関を十分に活用すべきと判断した。

報道が事実であれば、日本は南中国海の仲裁案後、初めて実質的な行動に出た国だ。日本が東中国海のガス田開発問題で仲裁を申し立てれば、南中国海仲裁案の模倣となり、中国に関する仲裁が相次いで申し立てられたことを世界に印象づけることができる。輿論戦により、圧力を強めることができる。これは日本が願っていることだ。

日本は東アジア諸国のうち海洋権益を最も激しく求めている国で、その多くの主張は常識外れであり、仲裁の関門を突破することが出来ない。例えば沖ノ鳥礁は満潮時に水面から数平方メートルしか出ないが、日本はその200カイリに排他的経済水域を求めている。もちろん日本人が、本件の仲裁を申し立てることはない。

東中国海の中日が領海線をめぐり係争中の海域において、両国間の大陸棚の幅は最大360カイリで、両国の200カイリの排他的経済水域が重なっている。日本は両国の東中国海の中間線を主張し、中国は国連海洋法条約に基づく大陸棚の延長による設定を主張している。中国の大陸棚は日本の大陸棚よりも遥かに大きいため、双方が膠着状態に陥っている。

春暁ガス田の位置は、東中国海の中間線より中国側にある。中国がここを選んだのは係争を回避するためだ。どのように領海線を設定しようとも、同ガス田の位置はいずれも中国の排他的経済水域内にある。ところが日本人はやはり中国に難癖をつけ、春暁ガス田でストロー効果が生じており、彼らが主張する日本の排他的経済水域の海底にあるガスを吸い取っているとした。

日本政府は自国の石油会社に、春暁ガス田の名義で石油開発を行わせ、中国から強い抗議を受けたことがある。日本が開発しようとしていたのは係争海域だったが、春暁ガス田は係争海域外にあるため、両者の性質は完全に異なる。

勝敗の確率を見ると、日本による東中国海ガス田仲裁申し立ては、中国よりもハイリスクだ。中国がその仲裁を主張しないのは、国際仲裁により領土・領海線の係争を解決することに原則的に反対しているからだ。中国の政策は一致しており、連続性を持つ。

日本政府も当初は、双方の協議により領海線をめぐる係争の解決を主張していた。中日両国は2008年6月に「中日間の東中国海における共同開発についての了解」に調印した。双方が一致して同意する地点を選択し共同開発を行う、それから日本法人が中国の海洋石油資源の対外協力開発に関する法律に従って春暁ガス田における開発に参加することを歓迎するが、その主な内容だ。ところが2010年に釣魚島危機が発生すると、中日関係が悪化し、上述した流れが途絶えた。

日本政府がリスクを冒して仲裁を申し立てるならば、これは中国に対して激しい感情を持つ日本の右翼からの働きかけによるものだろう。自国のリスクを冒してでも、周辺諸国の中国に対する「仲裁ブーム」を促す。自滅行為であっても、そのついでに中国に嫌な思いをさせようというのだ。

日本は対中問題で徐々に理性を失いつつある。釣魚島の「国有化」でも何ら利益を手にしておらず、これにより中国による釣魚島の常態化巡航が行われるようになった。日本が東中国海ガス田の仲裁を申し立てれば、新たな損失が日本を待ちうけることだろう。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年7月15日

 

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