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THAADの韓国配備は引き合わない

 

米国のミサイル防衛システム「THAAD」の本土配備に同意したことで、韓国は各方面の反発を招いた。この決定は韓国国内で民衆の抗議を招いただけでなく、国際社会でも強い否定的反響を呼び、反対の声が広がっている。(文:沈丁立・復旦大学国際問題研究院副院長。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載)

韓国星州郡THAAD配備反対闘争委員会は先日、ローマ法王、米大統領候補者のクリントン、トランプ両氏に書簡を送り、THAAD配備への地元民衆の強い反対の声を伝えるとともに、THAAD配備は星州に本来あった平和を破壊し、朝鮮半島を新たな冷戦システムの中心に押しやるとの考えを示した。

THAAD韓国配備の直接の被害国である中国とロシアは緊密な意志疎通を行なっている。第4回中露北東アジア安全保障協議が先日モスクワで行なわれた。中露は「現在朝鮮半島及び北東アジアの安全保障情勢には複雑な変化が生じている。中露は包括的戦略的協力パートナーとして、世界の戦略的安定性の強化に関する両国元首の共同声明に基づき、意志疎通と協調を一層強化し、最も確実で有効な方法によって、戦略安全保障上の利益を始めとする両国の利益をしっかりと守る」との認識で一致した。

中露双方は特に、米韓がTHAADの韓国配備を推し進めていることに重大な懸念を表明。一方的に戦略ミサイル防衛システムを開発し、かつ朝鮮半島を含む世界各地への配備を推し進める米国の非建設的行為は、世界と地域の戦略バランス及び安全・安定に悪影響を与えるとの認識を示した。また「米韓によるTHAADの韓国配備推進は、その公言する目的と明らかに一致しない」として、「中露は米韓の同計画に断固として反対し、情勢の進展によって生じるマイナス要素に対して、双方の協力を強化する措置を積極的に検討する」と表明した。

本来、朝鮮半島の核・ミサイル開発に対して、青瓦台が適度の反応を示すのは情理にかなってもいる。だが、朝鮮半島は領土面積が狭く、北南双方の攻撃システムはいずれも短距離であるため、防御システムもそれに応じたものであるべきだ。だがTHAADはその技術性能を考えると、韓国が朝鮮半島内部の脅威への防備に用いるにはふさわしくない。THAAD早期警戒レーダーの監視能力についていえば、このシステムは中露の戦略安全保障を損なう面の方が大きい。

中国側は自らの戦略安全保障上の懸念をすでに繰り返し、様々な方法で韓国側に厳粛に表明してきた。韓国及び域内各国が感じている核拡散の脅威に対しては、中国は責任ある大国として、朝鮮半島の非核化、朝鮮半島の平和・安定維持を一貫して支持している。今年に入ってからの朝鮮による核実験、ミサイル発射の継続に対しては、中国側は国際社会と積極的に協力して危機を管理・コントロールしている。これは世界のどの国の目にも明らかだ。

米韓のTHAAD配備は地域の戦略バランスを著しく破壊し、中国を含む域内各国の戦略安全保障上の利益を著しく損ない、朝鮮半島の平和・安定維持に向けた努力に逆行する。

また、米韓のTHAAD配備は反対に朝鮮を核・ミサイル開発計画の継続へと後押しし、韓国をより大きな脅威にさらすと考えられる。韓国が最終的に、THAAD配備は得るものより失うものが大きいことに気づくのは間違いない。(編集NA)

 

「人民網日本語版」2016年8月1日

 

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