安倍晋三首相は3日に内閣改造を終えた。これは安倍首相が率いる自民党の、先月の参院選勝利後の重大な政治の動きであり、安倍首相の2012年の再任以来で4回目となる組閣だ。新内閣にはどのような変化があるのだろうか?日本の未来の内政・外交、中日関係にどのような影響を及ぼすだろうか?
重鎮が続投
3日に公開された新閣僚リストのうち、最も注目されていた数人の「重鎮」が留任となった。これには麻生太郎副総理・財務大臣、菅義偉内閣官房長官、岸田文雄外務大臣が含まれる。この3人は安倍首相の2012年の再任後、すぐに入閣した「老臣」だ。
上海外国語大学日本文化経済学院の廉徳瑰教授は記者に対して、「菅氏、麻生氏、岸田氏という3人の中心人物の留任は、安倍政権の今後の内政・外交政策に大きな変化が生じないことを意味する。日本国内の政治の安定を促し、政策の連続性を維持する」と指摘した。
タカ派の女性防衛相、過去に何度も靖国参拝
しかし新内閣には新顔もいる。19人の閣僚のうち、8人が初入閣した。
一連の人事のうち最も注目を集めているのは、防衛大臣の交代だ。自民党政調会長の稲田朋美氏が中谷元氏の代わりに防衛大臣に就任した。稲田氏は東京都知事に選出された小池百合子氏に続く、2人目の女性防衛相となった。今年57歳の稲田氏は自民党内の「タカ派」で、何度も靖国神社を参拝している。極東国際軍事裁判所(東京裁判)の検証を提案するなど、歴史問題で強硬な態度を示している。
上海国際問題研究院諮問委員会の呉寄南副主任は、「稲田氏は日本の防衛政策の調整を積極的に支持し、安倍首相の意向を忠実に実行した。防衛相就任後、今年3月に施行された新安保法の実施を推進し、中国脅威論を口実とし日本の軍事化を加速することになる」と述べた。
廉氏も「今回の内閣改造で唯一懸念されるのは、稲田氏の防衛相就任だ。稲田氏が周辺諸国にとって不利益な政策を出すか、観察する必要がある」と懸念した。
党内の「知中派」、バランス化を図る
内閣改造の他に、自民党は高官の人事調整を行った。自民党幹事長というポストは、総務会長の二階俊博氏が担当することになった。
77歳の二階氏は自民党内の元老級の人物で、衆議院に11回当選している。運輸相、経済産業相、自民党国会対策委員長などを歴任。
呉氏は「安倍首相が二階氏を自民党幹事長に起用したことには、3つの考えがあると思われる。まず自身に不満を持つ党内のハト派をなだめ、次に自民党総裁の任期を延長する。安倍首相の自民党総裁の任期は2018年9月までで、安倍首相は延長を目指している。共同通信も、閣内では改憲には一定の時間がかかるため、安倍首相は二階氏の政治力により任期延長を目指していると報じた。二階氏は、自民党総裁の任期延長を検討したいと表明している」と分析した。
「3つ目は党内の政治力のバランス維持だ。二階氏は有名な知中派だ。タカ派の稲田氏を防衛相に起用すると同時に、自民党内の高官に知中派を迎えることで、党内の派閥間の協調を図り、中国にある種の姿勢を示すことができる」
中日関係に劇的な変化はなし
しかし最も注目されているのは、新内閣の中日関係への影響だ。
呉氏は「新内閣には知中派の人物が見られない。これは新内閣が中日関係に対して大きな動きを見せないことを意味している。来月開催されるG20杭州サミットで、安倍首相も訪中する。雰囲気作りのため、安倍政権が短期間内に過度に中国を挑発することはない。東中国海・南中国海などの問題については、日本はやはり米国と足並みをそろえるだろう。ともかく、中日関係が今回の内閣改造によって劇的に変化することはない。中日間では依然として、競争と協力が共存する『冷たい平和』の状態が維持される」と予想した。
廉氏も「今回の内閣改造で、防衛大臣を除く内政・外交などの重要な閣僚は留任となったため、国内外の政策に大きな変動が生じることはない。しかも安倍首相の今後の施政の重心は経済にある。中日両国の経済面の共通する利益を考えると、安倍政権が日本経済を回復させたければ、中日関係をさらに悪化させることはない」と分析した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月4日
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