最高人民法院は8月2日、「中国管轄海域で発生する関連案件の審理における若干問題に関する規定」を公布した。北京青年報記者の調べによると、海洋にかかわるこの司法解釈は、最高法院が海洋関連案件に向けて制定した初めての総合的な司法解釈であり、2つの部分に分かれている。
注目すべきなのは、この司法解釈の内容が、刑事・民事・行政訴訟の3つの分野をカバーしていることだ。これは最高法院が近年打ち出した司法解釈では極めてまれなケースとなる。
記者の調べによると、この司法解釈は、「国境(大陸部ボーダー含む、以下同様)違法通過罪」について関連規定を設けている。最高検察と最高法院は2012年、「国境管理妨害刑事案件の法律適用における若干問題に関する解釈」を公布し、国境管理妨害について5つの具体的な状況を明示していた。だが「陸路国境の違法通過行為」を主な対象としており、中国の領海への海上での出入りへの適用は難しかった。
今回の「規定」はより明確に、中国の国境管理法規に違反し、中国の領海に違法侵入した場合について、具体的な状況を挙げ、これに合致する場合は、刑法第322条で規定された「情状が深刻」であるものと認定するとしている。
刑法のこの条文は、「国境違法通過罪」に関連する規定を行ったもので、「国境管理法規に違反し、国境を違法に通過し、情状が深刻であるものは、一年以下の有期徒刑・懲役・拘束に処し、さらに罰金を課す」としている。この状況には、▽追い払われても離れない、▽追い払われてからもう一度中国の領海に違法進入する、▽中国への領海の違法進入で行政処罰または刑事処罰を受けて一年以内に、中国の領海に再び違法進入する、▽中国の領海に違法進入して水産品捕獲などの活動に従事するが、水産品の違法捕獲などの犯罪にはまだあたらない、▽その他の情状の深刻なケース――が含まれる。
最高法院の関連担当者の解説によると、海上航行の自由は国際法の原則であり、ある国の領海であっても、外国の船舶は無害通航権を持つ。だが航行の自由と無害通航はいずれも、沿海国の領海主権と接続水域管制権、排他的経済水域、大陸棚主権の権利と管轄権に服するものでなければならず、これに違反することは許されない。
同担当者によると、今回の司法解釈は、中国の管轄海域に違法進入した外国船舶と人員に対し、行政機関が、出境入境管理法と治安管理処罰法に基づいて、相応する強制措置と行政処罰を取ることを支持するものとなる。追い払われても離れず、また追い払われてから再び中国の領海に違法進入し、中国の管轄海域において違法捕獲などを行い、犯罪を構成するものは、中国刑法における国境違法通過罪や水産品違法捕獲罪の関連規定に基づき、刑事責任追及の対象となる。さらに「規定」は、▽中国の管轄海域内における海損事故のために起こされた損害賠償請求訴訟は、同海域を管轄する海事法院、事故船舶の最初の到達地の海事法院、船舶の押収地または被告の住所所在地の海事法院が管轄する、▽公海などの中国の管轄海域外で発生した海損事故のために中国法院で起こされた損害賠償請求訴訟は、事故船舶の最初の到達地または船舶の押収地、被告の住所所在地の海事法院が管轄する、▽事故船舶が中華人民共和国の船舶である場合は、船籍港所在地の海事法院が管轄することもできる――と明記している。
上述の司法解釈はさらに、許可証なしの捕獲における「深刻な情状」の認定基準や、「漁業許可証」「漁船登録証」「漁船検査証」を持たない「三無」の船舶に対して強制措置を取ることができるかなどの問題についても規定し、中国の海上漁業取り締まりに司法の保障を提供するものとなった。「規定」は8月2日に施行された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月4日
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