旧日本軍に徴用された慰安婦被害者の支援財団「和解・治癒財団」が先月28日、韓国のソウルで発足した。韓国の一部の民間団体は同日抗議活動を行い、歴史の罪を認め、慰安婦被害者に正式に謝罪し賠償するよう日本政府に求めた。
日本の安倍晋三首相の就任後、日本の右翼勢力はさらに恐れ知らずになった。高市早苗総務大臣らが15日に靖国神社を参拝し、安倍首相は自民党総裁の名義で玉串料を奉納した。超党派議員連盟のメンバー約70人が、靖国神社を集団参拝した。日本の政治家による靖国参拝は、歴史に対する正確な認識を公然と蹂躙しており、国際輿論から激しく批判されている。
靖国参拝、戦争責任を無視する行為
日本政府は東京で15日、全国戦没者追悼式を開いた。明仁天皇は発言の中で、戦争への「深い反省」について言及した。ところが安倍首相は式辞で、歴代首相の戦争に関する「加害」「深い反省」という表現を踏襲しなかった。安倍首相が再任以来、追悼式で戦争の反省について言及しなかったのは4年連続。
村山談話を継承し発展させる会の藤田高景理事長は記者に対して「靖国神社が宣伝しているいわゆる歴史認識とは、太平洋戦争は侵略戦争ではなく自衛の戦いであり、アジアの植民地を解放する『聖戦』だったとするものだ。事実上、日本が発動した侵略戦争によりアジア人が災いに見まわれ、無数の命が戦火の中で消えていった。旧日本軍は各国の資源を我が物顔で略奪しており、これを『聖戦』と呼ぶことは絶対にできない」と指摘した。
靖国神社が宣伝する歴史認識について、日本政府はかつて真っ向から否定していた。しかし安倍首相が2013年12月に隣国感情を無視し靖国参拝を敢行すると、中韓などのアジア諸国から強く反対されたばかりか、欧米諸国から「日本は戦後の平和の秩序を公然と挑発している」と厳しく批判された。
静岡大学講師の森正孝氏は「安倍首相が玉串料を奉納し、政治家が靖国神社を参拝する行為は、日本政府による戦争責任無視、歴史認識歪曲の象徴だ。侵略戦争の美化は、新たな戦争の準備だ。侵略の歴史を反省しなければ、いつか同じ轍を踏むことになる」と警鐘を鳴らした。
日本を危険な道に導く安倍氏
近年、日本社会の右傾化が激化し、侵略の歴史を美化し戦争責任を薄める「歴史修正主義」的な言行がたびたび確認されている。「加害」と「反省」に言及しなかったことは、安倍首相の「歴史観」と「戦争観」を露呈している。安倍首相は日本を危険な道に導いている。
安倍政権はさらに新安保法を強行可決し、戦後日本の「専守防衛」政策を終わらせた。日本の連立与党は7月の参院選で勝利し、改憲勢力が衆参両院で3分の2以上の議席を占めた。戦後71年という節目において、安倍政権は改憲の議論を加速し、頑なに「平和憲法」を覆そうとしている。
日本国内では、安倍首相の行為に警戒が広まっている。第二次大戦の戦没者遺族らでつくる日本の「平和遺族会全国連絡会」は15日、東京都千代田区で集会を開いた。新安保法の施行を受け、100人弱の出席者は「安倍政権は再び戦争を起こすかもしれない」「戦死者遺族を二度と出してはならない」と訴えた。
日本共産党の小池晃書記局長は戦後71年の談話の中で、「安倍政権による憲法の平和主義を覆す暴行が続いている。集団的自衛権の行使を認める閣議決定、安保法案の強行可決により、日本は海外で戦争を発動できる国になった」と指摘した。
日本政府は、実質的な行動で心から歴史を反省せよ
8月15日は、国の独立と日本の植民地支配からの解放を記念する、韓国の光復節だ。日本の一部政治家による靖国参拝について、韓国外交部の報道官は「日本の政治家は再び、日本の侵略の歴史を美化する靖国神社を参拝し、玉串料を奉納した。韓国はこれに懸念と遺憾の意を表する。日本政府は勇敢に歴史を直視し、実質的な行動で心から歴史を反省するべきだ」と論評した。
韓国の一部の民間団体は15日、光復節71周年記念活動を開き、歴史に責任を持つよう日本に求めた。韓国の日本大使館前では、100人以上の学生が記者会見を開き、昨年12月28日に調印された韓日慰安婦問題に関する協定を批判した。同じ場所では、日本戦犯企業を批判する集会が開かれた。「日本統治下遺族会」のメンバーはスローガンを叫び、日本政府と戦犯企業に謝罪と賠償を強く求めた。韓国の市民はソウルの光華門広場、西大門刑務所歴史館、清渓川などで、戦争の歴史に関する主張を行い、直ちに謝罪するよう日本に求めた。
上海外国語大学日本文化経済学院の廉徳瑰教授は、「8月15日は当時の日本が敗戦と降伏を宣言した日で、毎年この日になると侵略戦争を忘れられない人が、靖国神社で亡き魂に祈りを捧げる。1978年にA級戦犯が合祀されると、参拝の性質が変わった。これはすでに文化の範疇を超えている。特に閣僚による参拝は強い政治的意味合いを持ち、一部の人が侵略戦争の罪を反省したがらず、戦犯の無実を訴えようとしていることを意味する」と述べた。
戦後の日本人と良識ある政治家は、戦争を反省していた。しかし右翼の政治家は間違った歴史観を貫き、反省しなかった。日本の右翼は近年、中国の脅威を口実に、強硬な政策を推進している。これに野党の分裂が加わり、政権与党は「一強」の地位を占め、日本の政界が右傾化の状態を呈している。
中日は2014年、正確な歴史認識を含む4つの原則的共通認識を取りまとめた。しかしながら政治の約束を顧みず、いわゆる個人名義で参拝したり玉串料を奉納することで、頑なな歴史観を示す人物が常にいる。中日両国間には、対話により解決すべき新旧の多くの問題がある。しかし日本側が態度を正さなければ、対話と和解の雰囲気を醸成できず、ウィンウィンの協力も空虚な言葉になる。両国が和解と協力を実現せず、敵視と対抗を続ければ、地域と世界の平和を損ねることになるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年8月16日
|