病院で生体試料を保存できるとしたら利用を希望するだろうか? バイオチップ上海国家プロジェクト研究センターバイオバンクセンターがこのほど、広東省中国医学病院に設置された。3000平方メートルのバイオマスセンター実験室も広州市白雲区石井街で建設が進められており、「バイオバンク」として、将来、各種組織や血液、細胞、体液、器官、DNA、RNA、卵白などの生体試料を保存するという。広州日報が報じた。
各種病気の生体試料を保存
同センターのセンター長を務める■恒駿教授(■は告におおざと)は、「バイオバンクはその名の通り『銀行』としてお金ではなく生体試料を蓄える施設だ。バイオバンクでは、各種組織、血液、細胞、体液、器官、DNA、RNA、タンパクなどの生体試料を蓄える。もちろん、これら生体試料と関係のある各種臨床資料や追跡検査などの情報データも保存する。厳格な技術基準のもと、生体試料を専門的に収集、輸送、保存、管理、使用する資源バンクだ。通常、ヒトバイオバンクは大きく分けて2種類ある。まず、健康な人を対象にしたもので、例えば、さい帯血の保存や骨髄バンク登録などで、自分や他の人が病気になった時などに使う。もう1つは病気を対象にしたもので、患者の病変組織や血液サンプルなどを保存して研究に利用し、病気の治療など、多くの人を救うために使う」と説明した。
既にサンプル7万件を保存
現在、同「バイオバンク」には既に、全血や血清、血漿、血塊、肝生検、前立腺生検、PBMC、RNA、糞便、尿液など7万で、近くのサンプルが保存されている。
同病院副院長である盧伝堅教授は「中国医学の病院として初めて設置されたこの『バイオバンク』は、国家基準に基づいて運営されるほか、治療の際にどの薬物にアレルギー反応があるか、化学療法にはどんな副作用があるかなどの情報も記録される。サンプルが一定数に達すると、分析・整理を行うことで、一層便利に病気の追跡、予防、治療などが可能となる。また、早期診断や患者に合わせた治療、病気の予測などの根拠を示すこともできる。
世界各国におけるバイオバンクの現状
ここ10年、欧米の先進諸国では「バイオバンク」の設置が積極的に進められている。
2009年、米誌「タイムズ」は、「バイオバンク」の設置を今後世界を変える10大計画の1つに挙げた。米国国立がん研究所(NCI)は同年に政府資金を利用し、1度に30億ドル(約3000億円)を投じる決定を下した。その1番目のプロジェクトが、国家レベルの生体試料資源バンクの設置だった。日本も50億円を投じて、大阪にヒューマンサイエンス研究資源バンクを設置している。
生体試料は、疫学、ヒューマンサイエンスベース、臨床研究の源となり、分子医学ビックデータを用いて行う、大規模なサンプル検証やバイオ医薬品の変質研究、高精度医療を手早く実現するために重要な役割を担う存在である。(編集KN)
「人民網日本語版」2016年8月29日
|